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side:shintaro
先程まで逆上せるほどの活気だったVIPシートは、氷点下の様な突き刺さる空気に様変わりしていた。
まずは北斗だ。
誰でも無い、あの北斗が女の子を連れてこのシートに上がってくる事がまず初めてだった。
それだけで注目を浴びるには充分。
そして樹。
北斗の連れが樹の知り合いなのか一瞬視線を交わらせたが'知らない'と一蹴した。
それから、今俺が目を離せないのは彼女。
入口のバーカウンターで意味ありげにこちらを見つめていた新入りの子、だと思っていたんだけど、樹とも北斗とも繋がりがあるなんて。
更に不思議なのは、勘付かれないように全身を見たが'首輪なし'な事。
…この子、一体何者なのだろう。
A「っ…お邪魔、しました」
北斗「おいっ、」
樹「…」
この氷点下に亀裂を入れたのは彼女。
引き止める北斗の腕をすり抜け、ヒールを鳴らして真っ直ぐと出口に向かった。
束の間の沈黙。
樹「いやー見知らぬ女の子にもモテちゃった！さ、飲み直そー」
樹の一言を皮切りに再びシャンパンの海に溺れていく。
北斗「…」
慎太郎「北斗、今の子って…？」
北斗「…知らね」
慎太郎「知らないって…北斗が連れてきたんじゃん」
浮世に戻った樹と対照的に先ほどの場所から一歩も動かない北斗に耳打ちをしたが、酷く機嫌を損ねていた。
きょもにしろ北斗にしろ、今日はどうしたんだろう…
北斗「京本の機嫌取り頼んだわ、」
慎太郎「えっ、帰るの？！」
部屋の奥にあるカウンターに掛けてあったジャケットを手に取るとそれだけ言って北斗までもが出口に消えていった。
ジェシーのシリアルで入ってきて、
北斗となんらかのやりとりがあって、
樹の知り合い…？
慎太郎「やばすぎるだろ…」
大我「あぁ、やばすぎる」
後ろから大我が低く囁く。
大我「丁度席ひとつ空いたからな」
慎太郎「まじ…？」
北斗の言う、大我の'機嫌取り'
平たく言えば、大我が新しい獲物を見つけるまでここから帰らないので身の回りの女を紹介するなり呼びつけるなりしてご満足頂き願うのが恒例なのだが。
今回ばかりはあまりにも簡単でリスキーに終わった。
綺麗な顔を左右非対称に笑み曲げ、機嫌良くVIPシートに戻っていく。
慎太郎「…帰ろ」
気温のせいだけではない背筋の寒さに耐えかねて、
さっき潜ったばかりの入り口を出た。
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七星のあ - あおさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます☺︎ご期待に添えるように頑張ります。 (2022年11月29日 23時) (
レス) id: 0371497e5e (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - モチーフになった曲も大好きなので、こういう作品読みたいと思ってました！！見つけられて良かったです☺️☺️楽しみにしてます。 (2022年11月28日 0時) (レス) id: 0c466d2450 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七星のあ | 作成日時：2020年7月10日 8時
