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side:hokuto
慎太郎「あ、戻ってきた」
呑気な声を出す慎太郎を無視し、右手に掴んだ細腕を樹の目の前に投げ出す。
両脇に女を抱えた樹と俺の力によろけた彼女の視線がかち合う。
…先に口を開いたのは樹だった。
__先刻
定期的に行われる京本の剪定が終わるのを待ちながら横目でフロアを見ているとジェシーが連れてきた'田舎娘'が巻き込まれてるのが見えた。
酔ってトイレに駆け込んだりジェシーに揶揄われたり、つくづく貧乏くじを引く天才もいたもんだなと嘲笑う。
一連の儀式が終わると周囲はひそひそと好奇の囁きに満ちるが彼女だけは踵を返し外階段へ向かって行った。
この後京本の機嫌を取ることと天秤にかけたら彼女の後を追う方が賢明だと一目瞭然だった。
遮るものがない屋上は段違いに冷気が刺さる。
そんな中、薄手のタイトワンピース一枚の彼女は目線を遠くに投げていた。
…馬鹿馬鹿しい。
そう聞こえた。
その通りだ。
暇と金を持て余し、駆け引きで遊んで飽きたら終わり。
毎日同じ事の繰り返しで、変わり映えなどしない。
ここにいる人間は、変わることなんか求めてない。
そんな事に辟易しているのは俺だけだと思っていた。
ここに来る女はそれが顕著で、俺等の中の誰かに取り入ろうと必死になるのが常なのだ。
それなのに、なぜ目の前の彼女はその理に反するのか。
そしてなぜ、俺らの情報を少なからず握っているのか。
素直な興味と、この身にはあまりにも重い世界を背負う人間としての警戒心の狭間に出てきた言葉はあまりにも高圧的だった。
北斗「…答えないのか」
A「人を探しに来た」
北斗「誰？俺らの中？」
未だ視線は交わらない。
北斗「ジェシー…じゃないよな。俺は心当たりがないし、あとは�眞呂�京本か樹か…、」
逸らされた瞳の奥の深海が揺れる。
北斗「…樹か。」
一瞬でもこの女に興味を抱いてしまった自分を嫌悪した。
A「痛、っ、離して…」
北斗「来いよ。会わせてやるから。」
気丈なだけに少し狼狽えてたが、ひやりと氷のように冷たい腕を掴めば簡単に引き摺り出せる力の差に
何故か腹の奥が焼かれるような感覚になる。
…そして冒頭に戻る。
樹「…誰？」
A「っ、、」
樹くんこの子誰ー？と間の抜けた女の声。
樹「知らね、」
あまりに冷酷な樹の声に、彼女の瞳孔が開く音が聞こえた気がした。
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七星のあ - あおさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます☺︎ご期待に添えるように頑張ります。 (2022年11月29日 23時) (
レス) id: 0371497e5e (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - モチーフになった曲も大好きなので、こういう作品読みたいと思ってました！！見つけられて良かったです☺️☺️楽しみにしてます。 (2022年11月28日 0時) (レス) id: 0c466d2450 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七星のあ | 作成日時：2020年7月10日 8時
