自分を恐れる少女がみんなに愛される話

無垢の呼吸 ページ26

敵からこれほどの圧を今まで感じたことがない。


だめだ勝てねぇ。


俺は死ぬ。殺される。


鬼との戦闘で圧倒的な力の差を感じ戦意を喪失しかけた伊之助の頭の中で炭治郎の言葉が響く。


死ぬな！！！


俺が戻るまで死ぬな！！！


鬼にどこかへ吹っ飛ばされた炭治郎が伊之助に残した言葉。


どのような時でも誇り高く生きて下さいませ。ご武運を。


藤の花の家紋の家のおばあちゃんの言葉。


伊之助の手には再び力がこもる。


負けねぇ…絶対負けねぇ…！！


伊「俺は鬼殺隊の嘴平伊之助だ！！かかってきやがれゴミクソが！！」


ゴッ！！


鬼の打撃で吹っ飛ばされる伊之助。


早い…！！見えねぇ！！！


次の攻撃を間一髪で避ける。


【獣の呼吸 喰い裂き】


よし、鬼の首に攻撃が届く…！！


バキィ


悔しくも鬼の首の硬さで伊之助の刀は折れてしまった。


この攻撃に全身全霊をかけていた伊之助は受け身をとれずそのままもろに鬼の攻撃を食らってしまった。


ガッバキバキィ


鬼「俺の家族に近づくなァァア！！！」


首を絞められ息が出来ない。


伊「俺は死なねぇぇええ！！！」


【獣の呼吸 壱の牙 穿ち抜き】


鬼の首に刀を突き刺す。


伊之助は今誇りを持って戦っている。


鬼殺隊の剣士として。


それは例え刀が折れようとも…


だが鬼の首に刺さった刀はビクとも動かない。


頸椎を握り潰される寸前伊之助は走馬灯を見た。


母のこと、炭治郎、善逸、藤の家のおばあちゃん、


そして夜の空からこちらに向かってくる剣士


伊「誰だ…」


その剣士は刀を体の前で構える


鞘から抜いたそれは白い炎を帯びた美しい刀


【無垢の呼吸 参の型 天の舞】


あれほど硬かった鬼の腕がすっと斬られ伊之助は解放された。


何だ？あいつが斬ったのか？


白い羽織りを翻し着地した者


それは律だった


鬼の腕はすぐ再生し律を襲う


【無垢の呼吸 零の型 縮地】


気付くとそこに律の姿はなくもうすでに鬼にとどめを刺そうとしていた


【無垢の呼吸 肆の型 天地相殺】


律が刀の血を振り払い鞘に刀を納めた瞬間


カチッ


鬼の首は斜めに滑り堕ちていった。

伊之助との再開→←20、21(義勇side)

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