ニセモノを探せ*6 ページ7
「確かに……」
いつもなら野球部の掛け声や、吹奏楽部の楽器の音。
それに学校に残っている生徒や先生方が少なからずいるはずだ。
なのに、今、この学校からは物音ひとつしない。
ゾッとしたけれど、今はうらたと手を握っていたことが本当に救いだ。
怖さは少し無くなっている気がする。
と、その時だった。
ガタガタと上の方についている窓が突然揺れ始めた。
この場の雰囲気と突然の音に思わず、「きゃっ！」としゃがみ込む。
私がしゃがみ込んだことでうらたも「わっ」と言いながら体制を崩したがすぐにバランスを戻したようだ。ごめんうらた。許して。
しゃがみ込む私の横で手を繋ぎながら片膝を立てて窓を見上げるうらた。
そして立っている3人。
「……なあ、今日って天気予報荒れるって言うてた？」
「…いや、今日は天気は崩れることなく快晴やって言ってたと思うけど」
坂田と志麻の会話を聞きながら、私たちは未だガタガタと揺れる窓を見ていた。
窓の外に見える木が何も揺れていないことに気づき、背筋が震えた。
どうして風は吹いていないのに窓が揺れているのだろう。
そして電気がチカチカと点滅し始めて更なる恐怖を煽る。
「なに……やだ、怖い…」
思わず呟いた声にうらたが「大丈夫」と返してくれた。
優しい声に頷いたとき、まだ止まぬ窓の揺れと電気の点滅の中坂田が「あっ」と声を出した。
坂田を見ると、鏡の方を見つめ「まただ…」と呟いている。
怖い、見たくない。
けれど好奇心に勝てないのが人間だ。
恐る恐る鏡を見る。
「なんだ、これ……」
誰の呟きかなんてわからない。
けれど誰も反応はできなかった。全員鏡を見つめていた。
鏡に映る私たち。
そしてその奥の景色がぐにゃりと歪んでいるのがはっきりと見えた。
鏡の中のぐにゃりと歪んだ世界が奥の方から私たちに向かってきているのがわかる。
もう、何も言葉は出なかった。
怖くてカチカチと歯が鳴る。
鏡越しに坂田と目が合った。
いつも笑顔な坂田は呆然と鏡を見ていたが私と目が合った瞬間、安心させるように表情を柔らかくした。
その優しさに思わず涙が零れそうになる。
坂田に鏡越しに頷き、再び鏡の奥の景色を見ると歪んだ世界がすぐそこまで来ていた。
思わずうらたの腕にしがみつく。
目が合った。
鏡に映る自分と。
やがて鏡に映る自分もぐにゃりと曲がったその瞬間。
鏡の中の自分がこちらに微笑みかけた。
目に光がない自分が私に微笑む。
そんな姿を見たとき、私の意識はプツンと途切れた。
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菊香(プロフ) - 白雨さん» わ！はくちゃんありがとう〜！！めちゃめちゃ嬉しいです…そんなこと言ってくれて光栄ですありがとう(;;)更新のペース上げれたらな、と頑張るのでこれからもお付き合いください* (2019年9月26日 5時) (
レス) id: c2572f788b (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - コメント失礼します〜！ 菊ちゃんの作品の中で1番好きな作品がこの『ニセモノを探せ。』なんだけど、やっぱり考察も入るから一つ一つの表現と言葉が印象に残るし、文もまとめられてるからすっと頭に入ってきて凄く読みやすかったです！更新待ってます……！！ (2019年9月26日 0時) (レス) id: 7f0c200b78 (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - 乃都さん» わわっ、ありがとうございます！とても嬉しいです…励みになります(;;)これからもお付き合い頂けると幸いです〜！ (2019年9月25日 21時) (レス) id: c2572f788b (このIDを非表示/違反報告)
乃都 - 分かりやすい表現で､メンバー一人一人の性格や口調も掴めていながら読めば読むほど推理や推測も出来私などでは､表し用の無い程素晴らしい作品です。こんな素敵な作品を見せて頂きますありがとうございます。 (2019年9月25日 17時) (レス) id: ddd9224e3c (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - イチさん» うふふ( *´艸`)更新がんばりますね！ (2019年8月18日 17時) (レス) id: 2f8e2c41d8 (このIDを非表示/違反報告)
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