昔、隣の席だった君。【skt】

となり*41 ページ41

「本当に今日はありがとうございました！！」

そんな言葉と共に終了したライブ。


きゃああ という歓声を背にステージから消えた2人。
まだ余韻が残る会場内で、さかたんは

「いやぁ楽しかったなぁライブ。」

なんて言いながらニコニコしていて。


「もう本当に幸せだった……。」

私は呟いて、また余韻に浸った。
大好きな人が隣にいる中、大好きな人のライブに参戦して……。
これ以上無い幸せな時間だったと思う。



さかたんは うんうん と頷く。

「じゃ、そろそろ出ようか。」


その言葉で、もうほとんど人のいなくなった会場から外に出た。




ライブ前は明るかった空も、もう暗くなっていた。


今日のライブの事など何気ない事を話して、あっという間に駅に着いた。もともと、会場と駅が近かったというのもあると思うが あくまで感覚の話だ。


「今日は楽しかったよ、じゃ「ストップ！」

じゃあね と言ってさかたんと別れ、親戚の家に向かおうとした。はずだった。



「ちょ、今日こそ家に送るから！」

だからまだじゃあねって言わんといて？ そう言って私を見るさかたん。


「…分かった。」

もしかして送ってくれたりしないかな、なんて期待してたのは否定しない。が、実際 好きな相手に見つめられながら言われると喜びと恥ずかしさがあり。
顔を逸らしてしまうのは、仕方の無いことだろう。たぶん。


「瀬川さんの泊まってるとこってどの辺？」

さかたんに聞かれ、近くにあった公園の名前を告げると「あーそこか。おっけ」と言って迷いも無く歩き出した。
私も、さかたんの隣に並ぶ。



「…瀬川さんっていつくらいに北海道戻るん？」

「火曜日かな。」


実際仕事が始まるのは木曜日から。けれど北海道に帰って次の日から仕事というものは きついな と思い火曜日に帰ることにしたのだ。



「じゃあきっと今回瀬川さんと会えるのは、最後やな。」

明日から俺も仕事やし と言うさかたん。


「……うん、そうだね。」



私は、俯いて小さく呟いた。

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