昔、隣の席だった君。【skt】

となり*36 ページ36

「瀬川さんじゃあね!!ライブのことは、あとでメッセージ送るわ!今日楽しかったよー!」

大声で言いながらぶんぶんと両手を振るさかたんに思わず苦笑い。


「こちらこそありがとうございました!楽しかった!!」

そう言って小さく手を振り、さかたんと反対側にいるうらたんの元に向かった。



「お待たせしました。じゃあ、行きましょ?」

「おう。」



うらたんに声をかけて、歩き出す。

…隣を歩いていて、改めて思った。


「うらたさんって、やっぱり背低いですよね…。」

ポツリ、と呟くとうらたんが勢いよく私の方を見た。




「……瀬川さんって、身長どれくらい?」

「大体160です。あと、今ヒール履いてるのでその分高くなってると思いますけど……。」

「………」


ジトーッとこっちを見てくるうらたんに思わず笑ってしまう。
今、大体うらたんと私は同じ高さだ。
目の位置が一緒になっている。


「瀬川さん、これから俺と会うときはヒールの靴履かないで。」

ボソッと言われた言葉に吹き出しそうになってしまう。
危ない危ない…。


「分かりました。」

なんとか言葉を返すと、うらたんがため息をついた。



「…なんで俺の周りって身長でかいやつばかりなんだろ。」

それはうらたんが低いだけでは?
思わず言いそうになった言葉を何とか飲み込む。


「確かに。DVDでまふくんと隣のときとか身長差、結構ありましたからね。」

私が言うと、うらたんが ほぅ と感心した様子になった。



「話には聞いてたけど、瀬川さんって本当に歌い手好きなんだね。」

「はい。もう、生きがいです。」

「生きがい………」


うらたんが私の言葉を復唱して笑う。



「…で、一番は坂田だっけ?」

「もちろんさかたんです!!あ、坂田君です。」


勢いでさかたんと言ってしまい、慌てて訂正する。
そして、言ってからハッと気づき付け足した。


「うらたさんのことも大好きですよ?」

そう言うと、うらたんが私の目をジッと見つめてくる。
身長的にも見つめやすい高さだなぁだなんて思っていると、うらたんがフッと笑った。



「ありがとな。」

その言葉が静かな夜の住宅街の中、私の耳に甘く響いて顔が一気に熱くなる。
………うらたん、イケボすぎます。

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