▽▲ 寝ても覚めても 2 ▲▽hkin,inhk (ページ5)

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心配だなぁと思いつつ、膨れるいのちゃんを宥め込んだ。

「あ！やば！そろそろ…」

「…ひかる？」

身長は同じはずなのに、いのちゃんがすると上目遣いになるのは何でだろう。

何か言いたげに…されたげに？、名前を呼ぶだけ呼んで、あとは何も言わないで俺を見上げてくる。
しかも、期待に満ちた目で。

こういうときは決まってるから。

きゅっと軽く結ばれてる唇に自分の唇を重ねる。

「…ふふ、いってらっしゃい」

満足そうにとろけた顔で言って抱きついてくる。

まったく…ホントに可愛いんだからさ。

「いってきます。…早く帰ってくるからね」

「うん、待ってる」

お互いぎゅうぎゅうに抱きしめてると、時間を忘れてしまう。

離れがたくもなってくるけど…

いかんいかん！

早く仕事終わらせて帰って来ようって気持ちを切り替えて、いのちゃんの背中を軽く叩く。

「そろそろ行かなきゃ、」

「ん～まだ、もうちょっと、」

「マネージャー待たせちゃうから、」

「……マネージャーくらい待たせても…」

「…いのちゃん？」

「ぅ…わかってるよぉ、わかってるからっ」

いのちゃんのワガママ。悪いって思って言ってるのはわかってるけどちょっと怒ってみたらしゅんとした顔を上げて言い訳。
「でもほんとに！もうちょっとだから！」っていのちゃんはまた俺の肩に顔を埋めた。

そこでゆっくり深呼吸3回。

「…ぷは！……ん、大丈夫そう」

何が大丈夫なんだろう、と思っても聞かない。
行動がちょっと怖いいのちゃんも好きだよ。

「行ってくるね」

「うん。…あ！待ってひかるっ」

いのちゃんの声に振り返ったら、ふにって、ほっぺたに柔らかい感覚。

リップ音と離れていく顔で、それが何なのか理解する。

振り返った先には、さっきと同じく満足そうなニコニコのいのちゃん。

「…えへ。いってらっしゃいっ」

「い、って、きます…」

最後の最後にしてやられた。

ほっぺただったからか、唇の柔らかさがいつも以上に感じられてなんだか忘れられない。

いつまでも、あのふにふにした感覚が蘇る。

気が動転したのか(いやそんなことはないはず)間違えて上の階に行くエレベーターに乗って結局マネージャーを待せることになったし、大ちゃんにも百面相してるよとか呆れられるし。

帰ったら、あのキスを何倍にして返そうか。
そんなことを考えて俺はカメラの前に立った。

・

(ひかる、まだかなぁ～♪)

*Fin