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部屋の扉が閉まって、いよいよ部屋に一人になっちゃった。
「けほっけほっ…うぅ、さむ…」
咳も出るし体もだるいけど…思ったよりひどくないんだよね、体感だけど。
ひかるといちゃつく体力くらいは残ってるもん。
ひかるは、心配してくれてるんだろうけどさ。私はこの状況をちょっと楽しもうとしてる。
でも、ちょっとふざけ過ぎちゃったかなぁ。
ひかる、怒ったかなぁ。
心配性だもんなぁ。
そんなこと思っても、やっぱりどんなひかるも好きだし、怒ってる顔も大好きだし。
って、ひかるのこと考えてたらいつのまにか寝てたみたい。
・
「…んっ…」
どのくらい寝たんだろ。ひかるに、おかゆ食べるって言ったのに…
あれ、冷えピタ貼ってある…
何をどこまでどうしたか覚えてなくて、ぼんやりしてたらドアが開く。
「あ、慧起きた?」
「ん〜、ひかるぅ」
癖で手を伸ばしたら、「起きて平気?」って言いながら抱き起こしてくれた。
よかった、怒ってない。
ひかるは肩にカーディガンをかけてくれた。
「あたし、寝てたぁ…?」
「うん、でも1時間くらいだよ。おかゆできたけど食べる?」
「食べるっ!ひかるがあーんして食べさせっ…て…」
あ、まずい、いつもの調子で軽口が…
どうしよ!お触り禁止令だされちゃう!やだやだやだ一週間ひかるに触らないなんて死んじゃうし!!
頭に走馬灯のようなものが流れ出した。
あぁ、、楽しかったひかるとの日々、、、
…あれ?ひかる笑ってる?
「もぉ、仕方ないなぁ…」
「え、いいのぉ?」
「特別だからね」
お触り禁止令どころか怒られもしなかった。
あれぇ、寝る前にひかるに怒られたの全部夢だったのかなぁ?
「はい、あーん」
「あ〜…んっ。んふふ、おいし!」
ひかるの作ってくれるご飯はいつだっておいしいけど、ひかるが食べさせてくれるとより一層おいしいなぁ。こんど普通の時もお願いしてみようかなぁ。
それにしたって、ひかるが優しすぎる。
もしかしてこっちが熱に浮かされた夢だったりして。
「さいごの一口だよ、食べれそ?」
「うん、食べる」
「あーん。…はい、お粗末さまでした」
「おいしかった!ひかるありがとぉ」
「もー、こんな時でも食欲だけは旺盛なんだから…」
「えへへ 笑」
あーしあわせ。
ひかるには悪いけど、これ風邪引いてよかったやつだ。
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作者名:みつあめ | 作成日時:2020年11月29日 0時