・ ページ22
「んーっ！おいしい！」
「おいし？よかった」
「はぁ、しあわせだ…」
「そういえば、さっきのやつ何て書いたの？」
「ん？あぁ、新年のメッセージ？」
ちょいちょいとスマホをいじって見せてくれたのはマネージャーへの送信メール。
『今年は僕がみかんをやるので 餅をやってください。いのおけい』
いや、我が恋人ながら独特すぎて、ツッコミの言葉さえ出てこないよ…
そんな俺に、いのちゃんはちょっと不満そう。
「なんだよぉ、ちゃんと新年っぽいでしょお？」
「新年…まぁそうだけど、それ以前にファンの子へのメッセージじゃなかったっけ？」
「いいのー、おれは3枚目キャラでやってんだから」
あれ、そうだっけ？
いちおー俺たち、2人とも王道路線で売り出されてたはずなんだけど。
「今回のはひかるのコメントと被らないようにしたんだよ？」
「だっ…あれは！被らせようとしたんじゃなくてっ…」
そう、あれはクリスマスの時だった。
同じようにファンの子に向けて書いたメッセージ。
『今年は僕がサンタをやるので トナカイをやってください。いのおけい』のメッセージに答えるように『みんなのところにサンタは来るかな？ちなみに僕はトナカイです』と書いてしまって、ファンの子にものすごく騒がれた。
デビューした時から2人セットのように売り出されてた俺たちを、そういう観点で見ているファンも多い。
それこそ付き合ってるんじゃないかとか言われたけど本当に付き合ってるからなんとも言えなかった。
「さすがに今回は、『もちやります』とか書いてないでしょ？」
「んな特殊なメッセージ書けるわけないだろ」
ちょっと掴めない、そんなところもちゃんと好きだけど。
その後、お腹空いたからもう食べるってきかないからすぐ年越しそばを食べて、年末の歌番組を見たり、某バラエティを見たりしてダラダラ過ごして。
「あ、年明けたよ」
「あ、ほんとだ」
2人して何をするでもなく、気付くこともないうちに日付は変わっていて、なんだかおかしくて笑った。
「ひかる、今年もよろしくね」
「こちらこそ。今年もよろしくね」
いそいそと俺の隣に移動してきて、無理矢理こたつに入りこんだいのちゃん。
どうしたの？って聞いたら「なんとなく」だって。
こたつは狭いけど、ぬくぬくは倍増。
ずっとこんな風にいられたらいいね。
今年も、いのちゃんとのあったかくて平穏な日々が続きますように。
*Fin
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 161人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みつあめ | 作成日時：2020年11月29日 0時
