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マシュマロリップで虜になって inhk(百合) ページ17

inhk百合。むあむあのいのひかちゃん。










*




甘いハチミツの香りがする、お気に入りのヘアワックス。

入れ物も可愛くて、使い終わったら小物入れにしようなんて企んでいたそれにいつものように手を伸ばす。


けど。



「え?」



私としたことが、なんで気づかなかったんだろう。昨日から何度も洗面台に立ってるっていうのに。

開けっぱなしの蓋のせいで、ハニーイエローの可愛い容器の中、ワックスはカチコチに固まっていた。


身に覚えがないってことは、犯人はひとりしかいない。

この家に住むもうひとり…めんどくさがりなあいつ。



「ちょっと慧!!ウチのワックス勝手に使ったでしょ!」

「ほぇ?あ〜つかっちゃったぁ」

「やっぱり…。使うの勝手だけど、蓋!あけっぱ!」

「ありゃ、まじか」



ごめぇんと気の抜けた謝罪に力が抜ける。

広いおでこにぺたぺた化粧水を塗りながら、当の本人は悪びれる気がそんなになさそう。


いっつもこうなんだから〜…!!てかこれ、開けたの昨日だよね!?丸一日開けっぱとかある??


怒りを込めてじぃっと見つめると、



「…ねぇ〜ごめんってばぁ。ゆるして?」



ね?ひかる?と首を傾げる。

化粧水で潤んだ肌も、朝から真っ赤でぷるぷるな唇も可愛いけど、それを持った慧が可愛い仕草をするんだから言うまでもない。

…ずるいよ、慧ってば。



「っ、、、もぉ、仕方ないなぁ〜!!今日だけねっ!」

「ほんとぉ?ありがとひかるっ♡」



あーあ、許しちゃった。いつもこうじゃない…



「ひかる優しいっ だぁーいすきっ♡♡」

「うわ!ん゛っ……!!」



そしてこの子は、あいも変わらず…



「もぉっ…いきなりキスするのやめてっていってるでしょお!?!?」

「んもぉひかるったら顔真っ赤にしちゃって〜可愛いんだから〜」



こっちは怒ってたのに、すっかり慧のペースに巻き込まれて、これだ。

いきなりキスはするし、今はベタベタ顔触ってでれでれしてるし、あぁもうほんとに…!!



「…っ、もう!!調子乗ってると夕飯抜きだからねっ!!」

「えっ…」

「もう準備するから離れてっ」

「え、う、うそだよねぇ?ひかるぅ…」

「……」

「わぁーんっひかるごめんってばーー!!」



慧が私の手料理をいちばんの楽しみにしてるの知ってるからね。慧にとってご飯なしは私に見捨てられたレベルらしいし。


慧をまるっと無視して支度に取り掛かる。かれこれ5分無駄にしたわ…はぁ。

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作者名:みつあめ | 作成日時:2020年11月29日 0時

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