▽▲ 寝ても覚めても 2 ▲▽hkin,inhk (ページ13)

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『せっかく』とか『記念』だとか言って、憧れの人と写真を撮りたい…って人、多いんだよね。

たぶん、ほんとは光もあっち側。
言われたら断れなくて、全く知らない誰かのスマホのフォルダに光が残ることになってたはず。

今は…繋いだ手のおかげか、そわそわこっちを見てる子もいるけど流石に声を掛けてはこなかった。

それを心の中で喜んでる俺は、たぶん性格が悪い。

「…ね、ひかる。写真撮ろうよ」

「あ、そーいや撮ってなかったね」

アーケードでは立ち止まらないでくださいって言われてたからね。

お互い自撮りがへたくそで、何枚か頑張ったけど結局近くにいた人にお願いした。

もちろん、同じ制服じゃなくて観光客に声かけたよ。撮ったついでに私たちも一緒に撮らせてくださいなんて言われたらたまったもんじゃないから。

撮影交渉の時も写真に映る時も、離れない手。
それが嬉しくて、きっと何枚かの写真には残っちゃってるかも。

「あ、向こうに屋台あるってさ」

「行ってみるぅ？」

「いのちゃんが行きたいなら」

「うーん。…そういえばひかる、時間平気？」

1組から6組まである俺たちの学年。
ルミナリエの順路を1組から順に歩けば、先頭と最後尾じゃメイン会場に着く時間が全く違うから、集合時間がずらしてある。

ひかるは2組だから結構早い集合なんだけど、俺に合わせて二つ後ろを歩いてきたからもう時間がないかもしれない。

「あぶな！！あと5分！」

「あ、ほら、あの噴水のあたりに集まってるの2組じゃない？」

「げ、みんな真面目かよっ」

ひかるは5分前行動をしっかり守るクラスメイトを恨めしそうに見た。
あの大ちゃんでさえ噴水の近くにいるよ？

「あー！戻りたくねぇ！」

「ふふ、ひかる子供みたい」

「だってさぁ…」

わかってるよ。俺だって、手を離すのが嫌で知らないふりしてるんだもん。

離されるまで離しませんって、ずるいよね俺。

「いのちゃんも一緒に行く？もう2組はいんなよ」

「ふふ、文転しよっかなぁ笑」

くだらない話をして、ゆらゆら、手持ち無沙汰に繋いだ手を揺らす。

あぁ、離れたくないなぁ。