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俺が知ってた「バベルの塔」の話は、一般的に語られてるものみたいで、本当は少し違うらしい。
天にも届く塔を建てようとしたとき、神様が「人間はみな同じ言葉を使うからこんな気を起こすのだ」と、今まで話していた言葉を乱して、誰も相手の言葉を理解できない状態にした。
会話ができなくなった人間たちは天まで届く塔を建てることもできなくなり、その混乱した言語の…塔を建てていた街全体をバベルと呼ぶようになった、ていうのがホントらしい。
つまり歌詞に出てくる「バベルの街」って、言葉が通じない世界ってことか。
曲の題名は「言葉はいらない」だし、そういうことだよね。
ひかるにはちゃんと噛み砕いて説明してあげた。
自分で読むのはちんぷんかんぷんでも、こうやって話したらちゃんとわかったみたいで、ひかるはすごく感心してた。
「そういう意味なんだ!へぇー」
「でもよく、バベルの街なんて歌詞思いつくよね」
作詞家さんてすごいね〜なんて2人で話す。
「…なんかさ、この曲、俺たちみたいだなって思ったんだよね」
ひかるの言葉に驚いた。
最初に聴いた時から、俺も同じことを思ってたから。
ひかると俺は、考え方が正反対だ。
ひかるはポジティブ。俺はネガティヴ。
まっすぐなひかると、ひねくれてる俺。
一緒にラジオをしてるときなんて、よく思う。
意見とかアドバイスが絶対真逆になるんだよね。
それなのに、相手の考えてることはだいたいわかる。
とった行動の意味さえ、「ひかるはこう考えたんだな」って俺はわかる。
ひかるも、俺のめんどくさいとこ全部、その理由さえ理解して寄り添ってくれる。
本当に『言葉はいらない』んだ、俺とひかるの間には。
俺たちも、たとえバベルの街で出会っていても、恋に落ちたのかな。
ふと横を見たら、ひかるもこっちを見たから。
『あぁ、きっとひかるも今、同じこと考えたんだ』
俺たちは言葉以外のもので通じ合って、また笑った。
*FIN
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作者名:みつあめ | 作成日時:2020年11月29日 0時