横子さんの憂鬱�� ページ46
くらさんとやすくん
「ただいま。」
「おかえり、お疲れ様。」
「わ、もう全部片付けてある。
もう終わっちゃったの？
ごめんね、ひとりで大変だったでしょ。」
「大丈夫やで。
やすこそ、今日は一人で仕事任せちゃって、大変やったやろ？」
「ううん、大丈夫。
横子さんが倒れた時にはびっくりしたけど。」
「なぁ、今日はまっすぐ帰らんと、ちょっと寄り道して帰らへん？」
「ええけど。
どこか行くの？」
「そんなんじゃないんだけど、ちょっとな、ゆっくり話でも、と思って。」
「家でもできるのに。(笑)」
「家はほら、あれだから。」
「あれ？」
「愛しあう場所やから。」
なんかめっちゃ恥ずかしくなって、
「俺、戸締りしてくるから。」
と言ってその場を離れた。
ゆっくり話って何やろうか。
戸締りが終わり戻ってくると、
「じゃあ帰ろうか？
外は寒いやろ？ほら、」
そう言って俺にマフラーを巻いてくれた。
「ありがと。」
「大切な姫が風邪ひかないように、ね。」
外に出ると、さっきよりも風が強くなっていた。
「今日、お店見てきたやろ。」
「うん。どうだった？」
「場所も海の近くでとても良かったよ。
ただ・・・。」
「ただ？」
「ただね、今じゃないと思うんだ。」
「それは？」
「今みんなうちの店に楽しみにきてくれるやろ。
お陰様でお客様も増えて、
お客様同士も交流ができ始めて。」
「確かに。」
「みんなが居心地の良い場所と思い始めてくれる。
これって俺たちが望んだことやん。」
「うん。
さっきね、倉子さんが言ってたんだけど、」
「何を？」
「居場所を見つけたって。」
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作者名：niko | 作成日時：2019年12月27日 22時
