快適な台風の過ごし方 1 ページ7
緑side
季節が夏を迎えようとしているのに、
俺の心はそれと反比例して、憂鬱きわまりない。
スマホのニュースを見ても、
絶対来ると書いてある。
やつが来る、今年も来る、絶対来る！
嫌だ、嫌だ、嫌だ！
あいつだけは、絶対好きになれん。
俺の天敵、それは…。
そう、ピカピカ光って、大音響とともに、あらわれるやつ、
あいつの名前は、そう、雷！
「たつ、おまえ大丈夫か？
さっきから顔色悪いで。」
「だってな、信ちゃん。
台風がな、こっちくるねん。」
「そりゃあな、台風ぐらい来るやろ。」
「俺、あかんねん。あれだけは…。」
「台風がどないしたん。」
「台風じゃなくて、雷！」
「たつ、おまえ雷怖いんか。(笑)」
「笑わんとってよ。(泣)」
「ごめん、ごめん。」
俺と信ちゃんは今度放送される、バラエティ番組の宣伝でテレビ局にいた。
無事収録を終え、帰ろうとして外にでた途端、
ピカ！ゴロゴロ！
あかん、無理〜。(泣)
「大丈夫やて、。」
「そやかて信ちゃん、うちに帰ったら
ひとりになってまう。」
「やすはどうした？」
「舞台の稽古でな、帰ってきても遅いねん。」
「帰ってくるんやろ。
それまで、我慢せい！」
「そんなこと言ってもな、その間に
停電したら、どないすんねん。」
「たつ、懐中電灯があるやろ。」
「そやかて…。」
「俺、明日早いから帰るで。
マネ、こいつを家まで送ってやってくれ。」
「わかりました。」
「嫌やて、なぁ、信ちゃん、信ちゃんてば。」
「おまえは、駄々っ子か！」
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作者名：niko | 作成日時：2019年8月1日 13時
