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オクラとおおくら 3 ページ28

青side

「なぁ、まだつかへんの〜?」

助手席の王子様はますます不機嫌で、お腹を
押さえながら、口は膨れている。

「忠義はほんとにお腹すくと、機嫌が悪くなるんやね。
まったく、わかりやすいわ。(笑)」

「笑い事じゃ、ないで。(怒)」

海辺を走ってるのに、景色なんて見ることも
忘れてる。
早く食べささんと、俺、食われちゃうかな。(笑)

Goodタイミングで、ナビが目的地に着いたことを知らせた。

「このお店?」

「そやで。」

「ほな、はよ行こう。」



「いらっしゃいませ。」

「こんにちは。
今日はふたりできました。
いつもの、お願いします。」

「よく、来るんだ。」

俺たちはカウンターに座った。

「海が見たくなったときにな、ドライブがてらここでご飯たべるねん。」

「そうなんや、で、いつからなん?」

「今年の夏頃から。」

「夏?あ、そっか。」

「わかった?」

「俺が映画撮ってた頃や。」

「おまえ忙しいって言ってさ、ちっとも遊んでくれないからさ。(笑)」

「それは、ゴメンって。
だからひとりでドライブしてたん?」

「うん。
海見てるとな、なんか落ち着くんよ。
今、自分が悩んでることなんて、ちっぽけなことなんじゃないかってね。」

「ヤス、何か悩み事、あるん?」

「今は無いよ。(笑)」

お待たせいたしました〜。

「アジフライがある。」

「めっちゃ美味いで。
はよお食べ。(笑)」

「いただきまーす。」

あいかわらず美味そうに食べるな。
見てるだけで嬉しくなる。

こんな穏やかな日がくるなんてな。
あの頃の自分に言ってやりたいわ。

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作者名:niko | 作成日時:2019年8月1日 13時

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