チョコレートに愛を込めて�� ページ41
おーくらside
バレンタインデー、
昔は、お菓子屋さんの、チョコレートを
売るためのイベントだと思っていた。
義理チョコなんて言葉も生まれて、
義理で貰って義理で返す。
変な風習だなって、
ずっと思っていた。
冷ややかな目で見ていたのかもしれない。
そんな俺だったのに、
今年は違う。
俺の愛しの人からのチョコレート、
貰えるやん。
こんなに嬉しいものとは、知らなかった。
ドキ ドキ、ワクワクが止まらない。
甘いものが苦手な俺だけど、
姫からの愛が詰まったチョコレート、
どんな味がするんだろう。
「おーくらさん、何か楽しそうですね。」
テレビ雑誌の撮影の合間、
つい顔が緩んでしまっていたのか、
雑誌の企画の女性に声をかけられた。
「あの、これを。」
そう言って、リボンの付いた小さな箱を
手渡してくれた。
「これは？」
「チョコレートです。
ちょこっと、チョコレートです。(笑)
ほら、今日はバレンタインデーだから。」
「義理チョコ？」
「義理ってわけじゃ、ないですよ。
ちゃんとおーくらさんの事考えて買ってきた
んです。」
「ほんまですか？嬉しいです。
ありがとうございます。
えーと、お名前は？」
「はい、Aと申します。」
「Aさん、ありがとうございます。」
「私、プレゼントって好きなんです。」
「そうなんですか？」
「相手の喜ぶ顔を見られるのが好きなんで
す。」
「送る方も、嬉しいもんなんですか？」
「もちろんですよ。」
「そうなんですね。」
と言う事は、
俺にチョコレートを作ってるやすも、
喜んでいてくれてるのかな。
それなら、嬉しいな。
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作者名：niko | 作成日時：2020年12月21日 21時
