焼き餅はお好きですか？�� ページ17
やすside
「へい、いらっしゃい！」
上野に着くと買い物客で溢れかえっていた。
俺はおーくらと離れないように、腕をギュっ
と掴んだ。
「うふっ。」
「おまえなぁ、喜んでる場合か。(笑)」
「だって〜。」
「ほら早く買い物して帰るで。」
「はぁーい。」
「おまえはガキか！」
「ガキちゃうし。
恋人ですし。」
「ちょっと、声でかいって。」
「えー、ちゃうの？」
「違わないけど。」
「わーい、恋人ですし、」
「お、す、し。(笑)
って、俺たち大丈夫か？(笑)」
「誰も聞いてないから大丈夫ですし。」
「お二人さん、楽しそうで。」
「あ、こんにちは。」
「いらっしゃいませ。
何かお探しで？」
「はい、おせち料理の材料を探しに。」
「お兄さん達が食べるんかい？」
「その、会社で食べるんです。」
「会社で？」
「はい、そうなんです。
社員みんなで食べようって事になったんです
が。」
「君たちが用意することに？」
「はい、ジャンケンで負けてしまって、お
せち調達班になってしまったんです。」
「そういうことか。
それなら任してくれ。
全部用意してあげるから。」
「ありがとうございます。
助かります。」
「それじゃ、ちょっと待ってて。」
そう言うと店員さんは急いで中のほうに入っ
ていった。
「びっくりしたね。」
「まさかあそこで声かけられるとは。」
「上手く誤魔化してくれたから、良かったけ
どね。」
「外では気をつけな、あかんな。」
「うん。
だけどさ、俺たちってどう思われたんだろう
ね。」
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作者名：niko | 作成日時：2020年12月21日 21時
