77話 ページ37
「…りょ、じゃなくてっ…その、はいざきりょうへいって子知ってる?」
「はいざき、りょうへい…?」
聞き覚えのあるようなないようなその名前に私は取り繕っていた笑顔も忘れてオウム返しという馬鹿なことをしてしまった。
「うん!えっと、灰色の髪で、赤い目をしてて、日に焼けててね。身長はこのぐらいで、ちょっと目つきが悪くて… 私以外とはあまり喋らないんだけど!でも、とっても優しいんだよ!
この前なんてりょうへいってば、_」
思い出して貰おうと色々と身振り手振りで語りだした少女に苦笑いしながら、思索する。
はいざき りょうへい。
ぱっと誰かは思い出せないが、聞いたことがある。
赤い目、灰色の髪をした目つきの悪い内向的な男の子か。
思い出そうと、ぐるぐる頭を回す。
ふと、____照れ臭そうに顔を背けるぼんやりとしたシルエットと。ぶっきらぼうな声が脳内で流れ出す。
『…はいざき りょーへいだ』
私の名前を聞いて、『覚えといてやる』と指を指し宣戦布告をしてきた変な餓鬼。
そうだ。
まだその時は園児なのに、威張ってた子。
彼女のいう"はいざきりょうへい"とは彼だろうか。
「その時にね!ザリガニのはさみに挟まれて_」
「ねえ、そのはいざきって子が住んでるところって」
おさげの女の子の会話を遮って話かける。
こんな小学生の子が例の"はいざきりょうへい"の住所なんて明確に知るはずがないだろうと、その子がすんでる付近の物や場所、自分が知っていることを次々に口にだす。
すると私の知っている子と彼女の言う子が同じらしくだんだん彼女の顔が明るくなっていく。
「そうだよ!…やっぱり貴方がりょうへいが言ってたAちゃんなんだね!」
その笑顔に対抗して私も笑みを浮かべながら考える。
もしや、これがきっかけで…新たな"邪魔"が入るのだろうか?
(…面倒だな。)
にこにこの笑顔の裏で毒づく私はつくづく"友達"に向いてないのだろう。
でも、この少女の姿こそが本来の小学3年生だ。
外をいくら取り繕っても、内でどんどん黒く染まっていく私と正反対のソレに対峙して、いかに私がここに馴染めてないのかを痛感する。
それでも私は現在、野坂悠馬の"友達"になっているのだから、なんだか野坂に申し訳なくなってくる。
(…あれ?)
……そういえば、野坂がいない。
あの野坂がまだここに来てない。
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沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます!(*´∇`*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします!\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです!続きを待ってます!(*´ω`*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます!!凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます!更新のろのろですみません…! (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね!これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう?これからも楽しみにしてます! (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え!?本当ですか!!ありがとうございます!!コメント本当にありがとうございます!嬉しいです! (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙稀乃 | 作成日時:2020年4月12日 12時