７２話 ページ32
私の処遇に不満を募らせているのは彼を見えていなくてもなんだかよくわかる。
まあ、これはいつものことなのもあって、私はいつも通り丁寧に手を動かして、思ってもいない感想の続きを書いていた。
「Aちゃんの字、綺麗だよね」
「そうかな？…ありがと」
「…」
そこでまたぴしゃりと会話が途絶えた。
目線は痛いが、私には宿題というやることがあるので黙々と続けられるいい環境だ。
「…レポートなら僕がやるのに…」
そんな怒ったような独り言が、隣から聞こえてくる。
しばらくすると、静かになったので隣を見ると彼はまた本を読み出していた。
うん、今日も彼はいつも通りだな。
拝啓、ヒロトくんへ。
思い出してから数年の年が流れ、かれこれ私は3年生になります。
相変わらず私はこの施設から抜け出せず、おまけにこの野坂悠馬は通常運転でひっついてきます。
…そろそろ個人より、集団行動で遊ぶ楽しさを知る頃のはずなんですが、…全くその動きが見られません。
この施設内ではそういう機会がないのはもちろんなのですが、たとえ誰かに話しかけられても殆どその子たちと仲良くしようとする気がないです。
内が駄目なら、外からと思って周りに圧をかけたのに意味なかった。悔しい。
…ヒロトくん、どうすればこの少年を引きはがせるのかしら？
もうこの子が離れないを前提に計画でも練るべき？
…。とにかく悩んでいてもしょうがないので、なんとか試行錯誤して私から引き剥がしつつ、帰る方法を調べるに超したことはありません。
今年は例の計画を実行するわけだからね！
めげずに頑張ります！ヒロトくん！
「…あ、」
ヒロトくんにむけて意気込みを心の中で強く念じていると、レポートがちょうど終わりに差し掛かっていた。
…私の癒やしがここで消えるなんて
彼が気づく前に、急いで借りていた新書を適当に開き読む素振りをして、恐る恐る隣を見ると、野坂は辞書を取り出し小難しい顔をして本を見ていた。
__彼は私の真似なのか最近本を読む事が多くなった。
…そんな難しい本をいきなり読んだっていい学習にはならないと思って注意すれば『僕が読みたいの！』と珍しくムキになった。
そう、彼が珍しく喜怒哀楽のあの怒りを顔にだしたのだ。…あんまりださないのに。
それ以降私は野坂の好きにさせているが、もしやこれは反抗期か？と思ったところはある。
なんせ少し前まで私の話によく耳を傾けるいい子ちゃんだったのだから。
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沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます！(*´∇｀*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします！\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます！！凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます！更新のろのろですみません…！ (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね！これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう？これからも楽しみにしてます！ (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え！？本当ですか！！ありがとうございます！！コメント本当にありがとうございます！嬉しいです！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2020年4月12日 12時
