６７話 ページ25
あまりの多さにゴクリと喉がなる。
「好きなだけ食べなさい。」
笑顔で目の前の青年は残酷な言葉を吐いた。
この『好きなだけ』は、私にはどうにも『全部食べろ』にしか聞こえない。
もし一つでも残しでもすれば、私が手を付けないまま知らないところで処分されるのは明白で、どれが一つでも饗された私が嫌いだとか言って残したりすれば、作った本人にその最悪のレッテルが貼られたも同然だ。
…そのぐらいの影響力を目の前の青年は持ってしまっている。
ああ、怖い！もったいない！
そして最後まで胃袋保ってくれ！！
ベルナルドに見つめられる中、手前にあるお菓子をパクリと口に入れる。
やだ、美味しい…。
ふんわりしたスポンジの中に潜んでいたチョコがトロリと溶けて舌にそっと絡まった。
こってりした甘さでもないので次へと手が自然に動く。
ナニコレ？物凄く美味しいんですが！？
「お気にめしたかい？A」
「っ！？は、はい…」
ベルナルドの声で我にかえり、姿勢を正す。
いけないいけない。あまりの美味しさに自分を見失ってた…。
「私のことは気にせずに食べなさい。」
にこにこと笑いながらベルナルドは言うが、そんなに見られると食べにくかった。
にしてもいつまでここにいるんだろ、この人。
チラッと顔を上げると端正な顔でじぃっと私を見つめる青年がいた。
この人からの目線が熱いんだけど…。
どうしたのかと尋ねる彼に何でもないと答えて、また下を向いて食べる。
……これ全部食べ終わるには到底時間がかかそうだ。
「ベルナルドさん」
「何かな、A」
理由をつけて帰るにしてもお菓子も全部食べずに去れば、残ったお菓子がもったいないし、黙々と食べるにもベルナルドの目線だって耐えきれない。
「一緒に食べませんか？一人で食べるの好きじゃなくて…」
これとか！と少しビターなお味がしそうなケーキを持ってベルナルドに渡す。
「これを…私に？」
ベルナルドにとっては予想外だったらしく、きょとんとした顔で私とケーキを交互に見て、たじろいながらも受け取ってくれた。
理由はなんであれ、大量のケーキを食べる私の顔を見ている時間があるなら、それだけ食べる時間はあるはずだ。
どうせ食べ切るまで逃げられないのだから、彼にもケーキの消費を手伝ってもらえばいい。
おまけにその仕草はより子供らしく見えるだろう。
いい事づくしだ！
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沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます！(*´∇｀*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします！\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます！！凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます！更新のろのろですみません…！ (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね！これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう？これからも楽しみにしてます！ (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え！？本当ですか！！ありがとうございます！！コメント本当にありがとうございます！嬉しいです！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2020年4月12日 12時
