６０話 ページ18
「やっぱりそうだったんですね。
…他の先生にも沢山聞いたんですけど、何も答えてくれないから僕、ずっと不思議だったんです。」
野坂は言うと、先生は目を見開いて青ざめた。
見てるこちら側の方が驚くほどに。
「だから、先生の口からそう聞けて良かったです。
…だってもう今日限りで先生とは会えないんですよね。」
「…は？」
丁度いいタイミングで黒いスーツを着た人達がぞろぞろとこの運動場に足を踏み入れた。
おじさんと同様、私も…いや野坂以外のこの場にいる人は全員、よく状況が読み取れなかった。
複数人の大人がおじさんを取り囲むと、その中のリーダーっぽいガタイのいい人がおじさんの前に立ち、冷たい表情でそして声色は優しく淡々と告げた。
「今までお疲れ様でした。」
「…いやいや、ご、誤解だ！弁解をさせ」
「調べはついていますので、その必要はありません」
書類を広げておじさんに見せつけると、彼は言葉を失うが、届くことのない手を必死に野坂に伸ばした。
「このクソガキ！なにを言いやがったんだ！」
周りの大人に取り押さえられながらどっかに連れて行かれていった。
「Aちゃん、僕変なこと言った？…なんだか怖いや」
大人に見せつけるように私の腕に抱きついてしがみつくと、私の胸に顔を埋めた。
野坂は口ではそう言ってるが、…彼に限って怖いなんてないだろう。むしろ逆だ。
それも気づきもしない大人は、この授業はこれで終わりだと公言すると、私達は解散という形になった。
言われるまま私達は服を着替え次の授業まで、部屋で待機となった。
「貴方って、…腹黒いのね」
帰り道の廊下で小さな声で呟いた。
それを聞き逃さなかった野坂は、嫌な顔をせずに笑う。
「…こんな僕は嫌いかな？」
「別に。
……でも、悠馬くん。なんで横入りしたの？」
野坂悠馬の取った行動は少し不可解だった。
先程の一件は、明らかに時間で解決するはずだったのだ。
本来ならば、野坂悠馬がああして出てくる必要もないだろう。
結果的に私のせいで彼は人に恨まれる対象になってしまったのだから、むしろ出てきたことでデメリットが起きている。
それにだ。
彼が教師から私を助ける名目で介入したと言うには、あまりに遅すぎる。
私が「すみません」と言い続けるより先に、彼のことならもっと早く手を出してるだろう。
自分で言ってなんだが、…なんだか野坂悠馬の脳を少し理解できているみたいで大変複雑な心境だ。
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沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます！(*´∇｀*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします！\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます！！凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます！更新のろのろですみません…！ (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね！これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう？これからも楽しみにしてます！ (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え！？本当ですか！！ありがとうございます！！コメント本当にありがとうございます！嬉しいです！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2020年4月12日 12時
