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「っ!」
嫌でも上昇する体温。
鬼道は白石を少し遠退けて、彼とは逆の方を向いた。
白石はきょとんとした表情を見せたあと、自分のしたことを思い出して慌てて謝る。
『ごめん。無意識だった。』
「………別に構わない。」
『……怒ってる?』
「怒ってない」
『怒ってるじゃんか』
どうしたら鬼道の期限が直るのか、と彼の心情も知らず呑気に考えていれば、不意に鬼道の手が白石の頬に触れた。
先ほど自分から空けた空間を埋め、いつの間にか白石をジッと見つめている鬼道。
「お前は」
『……うん?』
「無意識だったら誰にでもこういうことをするのか」
少し拗ねたような声音に若干驚きつつも、『無意識だったらやりかねないかも』と素直に述べた。鬼道は呆れるでもなく怒るでもなく更に機嫌を悪くするわけでもなく、淡々と「そうか」と言って、今度は両手で白石の頬を包み込んだ。
手の中に納まる男として惜しいと思ってしまう程の整った顔。
指に触れる白石の細い髪の毛がくすぐったいのに、何故か＿＿嫌ではなくて。
そっと顔を近づけた鬼道を白石が止めた。
『ストップ鬼道くん!これ恥ずかしいね!君が怒る理由もわかるよ!!』
「分かったならいい。金輪際誰にもするな」
『しないしない!
というか恥ずかしくて出来な……ん?』
「なんだ?」
言葉を飲み込んだ白石を、頬を包み込んだままの鬼道が訝しげに見つめる。
『いや、もしかして……
さっきのって怒ってたんじゃなくて照れてただけ?』
「……まだ分かってないようだな」
『わー！ごめんって！鬼道くん力強いね!?』
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作者名：-naki-
x他1人 | 作成日時：2018年5月28日 20時
