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「……何かあったの?」
「いやっあぁ……ちょっとな」
普段とは異なる部室内の雰囲気を察した秋にそう問われたが、なんとなく流して苦笑いを浮かべる円堂に秋はさほど気にした様子もなく、"お客さん"を部室に入れた。
お客さん___である雷門夏未は部室に1歩踏み入れると、顔をしかめる。
「……臭いわ」
「こんな奴、なんで連れてきたんだよ!」
「話があるって言うから……」
染岡は大きく舌打ちをし、落ち着かせるようにその背中を白石が軽く叩いた。
夏未は円堂と目を合わせると、先に口を開く。
「帝国学園との練習試合、廃部だけは逃れたようね」
「お、おう!
これからガンガン、試合していくからな!」
「_次の対戦校を決めてあげたわ」
「「えぇ!?」」
「次の試合……?」
ーーー
「すごいでヤンスね!もう次の試合が決まるなんて!」
「やったな 円堂!」
「ああ!夢みたいだよ!また試合が出来るなんて!」
喜ぶ雷門サッカー部一同に、夏未は鋭い目を向けた。
「話を聞くの?聞かないの?」
「あぁ……すまない!で、どこの学校なんだ?」
「尾刈斗中。
試合は1週間後よ」
聞き覚えのない学校名に全員が首を傾げるなか、白石だけは過去の記憶を掘り返して『あそこか』と思い出したかのように手を打つ。
「A、知ってるのか?」
『何度か試合は見たことあるよ。でも説明するより見た方が早いし。
……それに、練習試合を組んだって話だけじゃ無さそうだ』
夏未は白石に見つめられると、それに頷いた。
「今度負けたらこのサッカー部は直ちに廃部」
「ま、またかよ……」
「ただし勝利すれば、FFへの参加を認めましょう」
『……なるほど、そうきたか』
「精々頑張ることね。」
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作者名:-naki- x他1人 | 作成日時:2018年5月28日 20時