12 ページ12
豪炎寺修也と白石Aの出会いは、賑やかな場を好む白石の両親が開いたホームパーティーだった。豪炎寺の父と同じ勤め先で仕事をしていた白石の父により知り合った彼等は深く意気投合し、サッカーという分野でよきライバルに発展した。
家が近いこともあったし、親同士の仲を考えても、将来は同じ中学校に行くんだろうと豪炎寺は信じて疑わなかった。
しかし、いざ中学に進学してみればどうだろう。
一緒の道を進むと思っていた白石は、そこに居ない。
何度も繋がらない番号にかけた。
届いてるのかも分からないアドレスに毎日のようにメールを送った。
家にももちろん行ったが、そこには白石と彼の両親の姿はなく、家の管理を任されたであろう一時的に雇われた家政婦の姿だけ。。
「＿＿＿……何度もお前を探したよ。
後ろ姿、サッカーのプレー。どこか似てたらお前だと思って振り向いた。でも、違ったんだ。
……Aは、どこにも居なかった」
豪炎寺は弱々しく呟いて、白石の肩に額を乗せる。
長年の付き合いだというのにこんな彼の姿を直接見るのが初めてだった白石は、なんて声をかけてどんな行動を起こせばいいのか分からず、固まった。
「………もう何処にも行くな」
いつの間にか背中に回されていた豪炎寺の手が、自分の練習着を強く掴んでいるのを白石は感じて＿＿そっと彼の後頭部を寄せる
『ごめん豪炎寺くん。
その約束は出来ないかもしれない』
「……」
『でも、今俺は此処に居るよ。
ちゃんと豪炎寺くんに触れて、体温も感じてる。』
「あぁ……」
『大丈夫だって。
……今は何処にも行かないよ』
そう言って笑う白石の首筋に、
豪炎寺は顔を埋めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 99人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：-naki-
x他1人 | 作成日時：2018年5月28日 20時
