【イナズマイレブン】怪傑の奇術師【男主】Ⅱ (ページ6)

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夏未がマネージャーになってから数日が経った。
白石は無くなった体力を取り戻すべく、誰よりも早く河川敷へ赴き、ひとりで練習を始めていると。

「あの、白石さんですよね?」

「怪傑の奇術師って呼ばれてる……」

『……あー、まぁ、そうですね』

誰が付けて広めたのかも分からないいつもの呼び方に対しイマイチな反応をしてしまう白石の周りに、見たことも話したこともない他校の女子生徒たちがやんやと集まり、その勢いに負けそうになっている白石は無理矢理口角を上げて1歩下がった。

「私ファンなんです!
小学校の頃から応援してました!」

「私は雑誌を見たのがきっかけで……」

「私は前に試合を観に行ったことがあったんですけど、」

『あ、ありがとうございます』

女子の熱意に押されて、次は苦笑いを浮かべる白石。

正直の所、この手の異性はあまり得意ではない。ある程度の距離を持って接して来る秋や春奈、夏未と違ってあんまりにも情熱的な視線を向けられてしまうと、もしかしたら裏があるのかもしれないと疑ってしまう。
例えそれが純粋な好意だとしても、臆病な自分からしたら少しだけ怖いのだ。

彼女達は何も悪くない。悪くないのだが、出来れば離れてほしい。
さてどうするものか、と笑顔を張り付けながら考えているところに土手から雷門の仲間が歩いてきた。

「あれ、Aじゃないか?」

「女の子に囲まれてるでヤンスね」

「けっ、モテる奴はちげぇな。」

数人の女子に囲まれている白石を見て雷門のメンバーは多種多様な反応を見せるなかで、彼と付き合いの長い豪炎寺だけは下手くそな笑みを絶やさない白石を見た瞬間、仲間の引き留める声も聞かずに足を進めた。

「A」

『!豪炎寺くん。って、皆も居る』

白石は無意識にほっと息をつくと謝罪の言葉を述べて女子達を帰した。
その場から女子達が居なくなるまで見送った白石は、そのまましゃがみ込んで頭を抱えた。

『はぁ……』

「大丈夫か?」

『うん、平気。
ちょっと話してただけだし、応援してもらえるのは有難いよね』

膝をついて目線を合わせてくれる豪炎寺に笑いかけると、白石はすぐに立ち上がった。