妖怪ウォッチを持つ少女は世界に羽ばたく【オリオンの刻印】

〜姫の見解〜 ページ38

「うっ……そお」

ただそれだけしか言えない。
Aは呆然と、シュートを決めたサタンの方を見つめた。

「円堂、まるで悪魔に魅入られていたかのようだ……」

鬼道が悔しげに言う。

流石シャイニング「サタン」ズ。
メンバー達の雰囲気だったりも、そう……随分個性的だし、もしかしたら本当に悪魔が人間の姿を借りてA達の前に立ちはだかっているのかも知れない。

「一体どうなってやがる！？」

苛立ちを隠そうともしないのは、イナズマジャパンの悪魔・灰崎。

「ハッ、フィールドの悪魔が悪魔に魅入られてちゃ世話ねーな」

「何だと、お前も見えてないだろ！」

──このゴッドアンドデビルは、本当に……。

Aは思わず額を抑えた。

「もー、今はチームの中で喧嘩してる場合じゃないでしょ？ 敵はあっち！ オーストラリア！」

「じゃあ“姫様”には、悪魔とやらの正体が見当ついてんのか？」

灰崎が揶揄うような口調でそう言うが、真剣に考え始めたAはそれを軽くあしらった。

「見当……ってほどじゃないけど。やっぱり気になるのは、どうして吹雪さんの『アイスグランド』が通じるようになったのか…………私が思うに」

口を挟ませる隙を与えず、Aはビシッと勢いよくヒロトを指差した。それは如何にも、「犯人はこの中にいる」と宣言した探偵が、その犯人を指し示すかのように鋭く。

「鍵は、ヒロト君の乱入！！」

「──はぁ？」

「相手のおかしな手の動きが、ヒロト君が前を通り過ぎて行ったことで中断させられた……そしたら『アイスグランド』が通った。みんなを惑わしてるのは、あの手の動きなんじゃないかしら」

「…………かもな」

思ったよりまとも、且つ筋の通った推測。
揚げ足を取る準備は万端だったゴッデビコンビは、思わず拍子抜けしてしまった。

「あと、ベンチのみんなとか実況とかが、全然リアクションを示してないのもおかしくない？ 瞬間移動なんてしてる選手がいたら、普通は驚くと思うんだけど」

「つまりフィールドにいない奴等からは、俺達が普通にボールを取られたかのように見えている……ということか」

鬼道が重々しげに言う。
例の「手の動き」……ひょっとしたら、目の前の相手だけにかかる一種の催眠術のようなものなのかも知れない。

〜姫君と神様〜→←ミニリメイクしてるよという話

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