＊ジャミル・バイパーの独白 ページ19
「…は？」
学園長からの言葉は俺の思考を止めるには充分だった。
あまりにも急すぎるだろう。
せめて何か一声かけてから帰れよ。そしたら送り出しの宴の準備くらいしてやったさ。
君が一番好きだと言っていた料理もたくさん作ってやったさ。
馬鹿野郎。
勝手に帰るなよ。
『バイパー先輩の包丁さばき、凄いですね！』
『うっわ！料理美味しい！凄いですね！』
『絶対本気を出せば凄い人でしょ？先輩。』
ホリデーの時、俺は君を巻き込むために声をかけたな。
それがきっかけで一緒に料理を作っていた時、俺の些細なことを沢山褒めて認めて敬ってくれたのがどんなに嬉しかったことか。
＿どうだ！俺は凄いだろう！
＿俺はこんなに頑張ってるんだ。
＿俺はもっと出来るんだ。
そんな心の叫びを見透かしたかのように欲しい言葉を…初めてくれた人なんだ。
カリムからでは無く、他の人から聞きたくて聞きたくて堪らなかった言葉。
俺がカリムを裏切った時も、ただ俺だけが悪いと責め立てるわけでもなく、俺の言い分、カリムの気持ち、全てを考慮したうえでカリムにも厳しい言葉をかけていた。
それがどんなに嬉しかったことか。
これが、父や母だったら間違いなく俺を厳しく叱りつけただろう。
頭ごなしに俺だけを。
俺の気持ちや言葉に耳を傾けることなく。
それを知っていたからこそ、覚悟していたからこそ、君の対応が嬉しくて堪らなかったんだ。
君にとっては当然な些細な行動が、俺の胸を締め付けるほどに優しかったんだ。
＿どーせカリムは「A、帰れて良かったな！」ってニコニコしているに決まってる。
そう思って俺はふとカリムを見る。
正直に言おう。驚いた。
カリムはその大きな瞳から、ボロボロ涙を流していた。
「おい、カリム。…アジーム家の次期当主が、みっともない、顔をするな。」
まぁ、俺が人の事を言えるわけでは無いが。
「ジャ、ジャミルだって、泣いて、る。」
「うるさい！馬鹿カリム！」
やはり、カリムはそう言ってきた。
俺が泣くのとお前が泣くのとでは違うんだ。阿呆。
カリムに呆れながらも、今日は怒鳴る気になれない。
だって、喧嘩を止めてくれる人が居なくなってしまったから。
「ジャミル〜。」
「うっわ！馬鹿野郎、鼻水が俺の制服に付くだろう！？」
くっそ。このパーカーお気に入りだったのに。
お前の鼻水でべちゃべちゃだ。
…俺はカリムと違って悪い奴だから、もう一度君を攫いに行くよ。
覚悟してろ、A。
＊ヴィル・シェーンハイトの独白→←＊カリム・アルアジームの独白
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檸檬 - あ、あのぉ。ぞ、続編ってどうしたら見れますかねぇ.....?芋けんぴ様さえよければパスワードを教えてもらいたいのですが... (11月4日 21時) (
レス) @page42 id: b3274f6834 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 初めまして！とても楽しく読ませて頂きました、素敵な作品をありがとうございます！ 続編？も読みたいのですが…公開はする予定はありますか？とても気になります… (2023年2月2日 8時) (レス) @page42 id: a32747b1ee (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 美南さん» 美南様、コメントおよびご指摘ありがとうございます。文字数の都合上、「この世の終わり」と表現させていただきました！！そうですね…皆様の涙腺を破壊してしまったみたいで…反省してます…。ティッシュ贈呈でどうでしょう？笑 (2021年8月11日 9時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - まあゆひやさん» まあゆひや様、コメントありがとうございます！お返事遅くなってしまい申し訳ありませんでした…。独白、読んでくださりありがとうございました！ (2021年8月11日 9時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - Ｒ−アル−さん» のりまーす！！のりますよ？？ (2021年8月11日 9時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芋けんぴ | 作成日時：2021年3月3日 0時
