人間洗浄機９

日常331　写真判定 ページ35

「これじゃないなー。あ！これかも！」

「負けちゃったねー。」
「まな板の鯉だ。好きにしてくれ。」

後日、乱数の事務所では＜シブヤの幽霊＞の正体が本物の幽霊では無かったという結果を受けて、賭けに負けた少女と帝統は乱数の着せ替え人形になっていた。

乱数はあぁでも無いこうでも無いと、少女と帝統に自分のブランドの洋服を合わせている。
幻太郎はその光景を見ながらふふっと微笑んだ。
今回の賭けの元凶のクセして、一番優雅である。


幻太郎はふとスマートフォンの画面を開いて、青い鳥のSNSを起動させる。
『Fring Posse』と打ち込んで検索すると…

『ライブ最高だった〜！』
『乱数ちゃん可愛かった〜。』
『マネージャーさんが女の人って本当かなぁ？』

など、多くの投稿があった。
何気なくスライドしていくと、

『乱数、大丈夫〜？これ、めっちゃ怖い。…演出かな？』

という投稿と共に、一枚の写真が。
幻太郎はその写真を見て顔色を変えた。

＿これは…。

「乱数、ちょっと待った。これは写真判定ですね〜。」

幻太郎が突然声を上げると、少女、帝統、乱数の視線が幻太郎に集まる。
＜写真判定＞とは、賭けの結果の事であろうか。

「幻太郎、どーしたの？」

乱数は幻太郎の元へ駆け寄る。
すると、幻太郎は自身のスマートフォンの画面を向けた。

そこには笑顔の乱数と＜あるモノ＞が映っていた。
＜あるモノ＞を見て乱数は顔色を悪くして、固まってしまう。

「乱数、どうしたんだー？」

帝統が気になって、乱数の肩から顔を出す。
そして、幻太郎の持つスマホの画面を凝視する。

帝統もまた、＜あるモノ＞を見て固まってしまった。

「乱数も、帝統もどうしたの？」

そこに最後に少女が近づいていく＿

「Aは見ちゃダメ！」
「お前は見るな！」

すると、２人は一斉に少女から幻太郎のスマホを遠ざけた。
少女は顔をしかめて首を傾げる。

「えっと、どうしたんですか？」

「あー…見ないほうがよろしいかと。」

自分だけ仲間はずれなのは気に食わない少女は幻太郎に詰め寄る。
すると、帝統が決心した顔で少女の肩を掴む。
少女が振り返ると…

「あの賭けが俺たちの勝ちになりそうな写真があったんだ。」

「…ということは？」

「…心霊写真だ。」

乱数の事務所に静寂が訪れる。
そして、その数秒後…

「「「ぎゃあぁぁぁ！」」」

３人分の悲鳴が響いた。
それを見越した幻太郎は、耳に耳栓を覗かせながら優雅にネットサーフィンを続けたのだった。

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