日常326 帝統は犬だった ページ30
冷たくなってきた夜風が少女と帝統、２人の頬を撫でる。
11月にもなれば、寒くもなるだろう。
「おぉ、冷えるね。」
「寒いのか？」
少女が二の腕を擦りながら歩くと帝統が上着を脱ぎ始める。
「いやいや！大丈夫だから！」
「？最近ちゃんと洗濯したぜ？」
「そーいう問題じゃないから！」
当然のように少女の肩に上着をかけてくれるものだから、少女は驚きながらも丁寧にお断りした。
「ちぇ。可愛くないヤツ。」
「気持ちだけで充分温かいです。」
「…そーかよ。」
少女の言葉に気をよくしたのか、帝統は鼻歌を歌いながら歩き進めていく。
たまたま話題が途切れ、静寂が２人の間に流れる。
すると帝統が口を開いた。
「…なぁ、お前さ。」
「ん？」
「この前ヨコハマのカジノにいただろ？」
時が止まった。
少女は冷や汗が止まらない。
＿何故バレた！？
目を見開いて帝統を映す少女。
それを見て帝統はニヤリと笑うと
＿＿スンスン
「ひぃ！？」
少女の首元を近づけて、少女の匂いを嗅ぎ始めた。
少女は鳥肌を立てながら帝統から距離を取る。
「変態！訴えるぞ！」
「…いってぇ！」
少女は帝統の頭に拳骨を落とす。
帝統は痛そうにしゃがみ込むが、口元は弧を描いている。
「ヨコハマのカジノでお前の匂いがしたんだ。お前のその反応を見るに、いたんだろ？」
「っく。…いたけど。」
少女が返事をすると、帝統は読みが当たったとはしゃぎだす。
「帝統って犬だったりする？」
「俺は鼻が利くからな。じゃないとギャンブルできないだろ？」
「ギャンブルをする人の感性はわかりません。」
少女は帝統とは正反対にげっそりしている。
危ないことに首を突っ込んだことはあまりバレたくないことのようだ。
次の瞬間、帝統はへらへらした表情から、すっと真顔になって真剣な表情で少女を見つめる。
「お前、もうあのカジノに近づくなよ。」
「へ？」
「あのカジノ、危険だから。お前が行くとしたら合法の賭場にしろよ〜？パチンコとかな！」
帝統はそう言って少女の肩を抱く。
ずっしりとした重みが少女にかかる。
「…もう行く機会は無いよ。」
「なら良い。それに…」
帝統は肩を抱く腕に力を籠める。
それに気が付いた少女が帝統の方を向くと、目が合った。
「次いくなら俺も声かけろよ〜。１人で楽しむなんてずりぃぞ。」
「あ、はい。」
＿俺が居たら最低限は守ってやるから。
そんな帝統の本音は、ふざけた建前と冬の風にかき消された。
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いもけんぴ(プロフ) - 雪猫/うさ@猫のきもちさん» コメントありがとうございます！はじめまして、いもけんぴと申します。返事が遅れてしまって申し訳ないです。全シリーズ公開にいたしますので、是非読んでいただけると嬉しいです。 (2023年1月11日 4時) (
レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
雪猫/うさ@猫のきもち(プロフ) - はじめまして！突然のコメント失礼します。このシリーズとても面白くてリピートして見ています！この次のシリーズ10は見れない感じなのでしょうか？ (2022年12月29日 11時) (レス) id: 11992579ab (このIDを非表示/違反報告)
千(プロフ) - 芋けんぴさん、こちらこそ、ナポリの一員にありがとうございます。誰でも理想はありますからね。この職場でしたら嬉しいです。私も ファイナルアンサーで、それとコメント頂きありがとうございます。いっでも大丈夫ですので、体に気をつけてくださいね。 (2021年6月19日 10時) (レス) id: 2ac717d38f (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - ダリアさん» ダリア様！コメントのお返事が遅くなり申し訳ございません。オリキャラ設定のリクエストありがとうございます！10の最後で書かせていただきました！ ナポリの常連になってくださるととても嬉しいです！オリキャラごと愛してくれてありがとうございます！！ (2021年6月19日 4時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 蒼井とーるさん» 蒼井とーるさん！コメントありがとうございます。お返事が遅くなり申し訳ございません。オリキャラの設定のリクエストありがとうございました！10のラストで追加のオリキャラ設定を書かせて頂いています！よろしければ覗いてみてください！ (2021年6月19日 4時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芋けんぴ | 作成日時：2021年2月12日 22時
