日常238 ズルい約束 ページ26
「A！」「Aちゃん！」
少女は後ろからガタイの良い男に拘束されてしまった。
独歩と一二三が心配して少女の名を呼ぶ。
「…成程。それは悪手ですね。」
寂雷もこれはいただけないと言いたげな表情で正面の男を睨む。
「こんなところにか弱い女を連れてきた貴方がたのミスです。」
「確かに、そうですね。」
寂雷は優しく少女を見る。
少女は寂雷と目が合った瞬間に、ニヤリと笑い、
「もし彼女が」「もし私が」
「「か弱かったらの話でしょうけど。」」
少女はそう言った瞬間に、後ろの男の鳩尾に肘を食い込ませる。
「＿ぐっ！」
そしてその男が痛みに耐えかねて背中を丸めた瞬間、
「ほっ！」
その男の首に踵を落とした。
男はあまりの衝撃に意識を無くす。
その様子を見て寂雷はふわりと目を伏せて笑った。
「残念ながら、私か弱くは無いんです。」
少女は正面の男を見てニヒルに笑う。
「寂雷さん、私も参戦していいですか？」
「先ほどの＜約束＞が守れれば良いですよ。」
「なら問題ないですね。」
少女は笑顔で正面の男を見た。
「さて、＜力ずく＞って言ってましたっけ？」
少女が腕をまわしながら問いかける。
寂雷は懐からマイクを取り出し、
「では、こちらのそのルールで。」
好戦的な目で男を見た。
＿＿数分後。
その場所には倒れた男達の山が出来上がっていた。
エレベーターランプがB1から１に動く。
＿チーン
「さて、次に行きましょう。」
エレベーターのドアが開くと、寂雷は颯爽と車に戻っていった。
＿＿１時間前
独歩の元へ向かう前の車内。
寂雷は助手席に座る少女を申し訳なさそうに見て、
『巻き込んでしまう形になってすまないね。身体は大丈夫かな？』
＜人が死んでいた＞
これはただ事ではない事件だ。
少女をまた危険にさらしてしまうかもしれない。
寂雷は少女が弱くはないと知っていても、申し訳ないと感じていた。
『心配には及びませんよ。』
少女は笑っているが、やはり不安なものは不安だ。
＿Aさんはすぐ無茶をしてしまうから…
『では、Aさん。』
『何でしょう？』
真剣な声色で名を呼ばれた少女は不思議そうに寂雷を見る。
寂雷は前を向いたまま少女にこう告げた。
『私と約束してください。無理はしないと。』
きっと少女は約束を破らない。
そう確信した大人のズルい言葉だった。
＿これはやられた〜。
少女はへらりと笑いながら
『わかりました。』
と言うしかなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 912人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きな粉もち - いもけんぴさん» ご返信ありがとうございます。楽しみに待っています！ (2022年10月29日 18時) (
レス) id: 7285b7d776 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - きな粉もちさん» きな粉もち様、コメントありがとうございます。いずれ、全体公開を考えているため、もう少しお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません。 (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - くりゅさん» くりゅ様、コメントありがとうございます。いずれ、全体公開を考えているため、もう少しお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません。 (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - れんさん» れん様、コメントありがとうございます。いずれ、全体公開を考えているため、もう少しお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません。 (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
きな粉もち - 人間洗浄機シリーズ、いつも楽しませていただいております！８以降のパスワードを教えていただけないでしょうか？ (2022年10月26日 16時) (レス) @page47 id: 7285b7d776 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：芋けんぴ | 作成日時：2021年1月17日 19時
