子供 ページ29
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「やっと出てきたわ。見てこれ。これがええんちゃう？」
クイナがバンバンと叩くボンネットの車は、ファミリー用の大きい車。
「これじゃ小回りが聞かないわ。かっこよさで決めないで」
アンが「選んでる暇無い」と小さくボヤく。
「そーか？」と不服そうなクイナは、あと何台かある車をじっくりと見極める。
車素人には、はっきりいってどれも違いが分からないだろう。
焦る私の袖を、不意に誰かが引っ張った。
「え？」
見下ろすと、小学校低学年くらいの女の子が不安そうにこちらを見ていた。
「…っ、」
「おねーちゃんも、どこか行くの…？」
きっと9歳、10歳辺りの子供。
ふとクイナを見るとまだ熟考していて気がついて居ない。
私と子供に気がついたアンは、急かすように「残り11分」と言った。
「皆どこか行っちゃった」
寂しそうな姿に胸が締め付けられる。
確か、ひとつの車に乗る制限人数は乗車出来るだけ、だったはず。
「…A、何を考えてるの」
「だってこの子」
「初心者どころじゃないわ。足を引っ張るのは」
「でもアンも免許を持ってないから初心者みたいなものだよね？」
私の言葉に押し黙る。
ぐ、とスマホを握りしめたアンに、決断を早めないと。と女の子に優しく問いかけた。
「何歳？」
「11歳…」
「お母さんやお父さんは？」
「わかんない…気がついたらユイ1人で、ここに来て…。
人がいっぱいだから出ようとしたら、出ちゃダメだよって…」
出たらレーザーで撃ち抜かれるからか。
出る時に咎められても、入る時に咎める人が居なかったのが居た堪れない。
「…そっか。じゃあ、お姉ちゃんと一緒にゲームをクリアして、お母さんとお父さん探そうね」
不安でいっぱいそうな瞳に涙を溜め込んだまま、「ほんと？」と聞いてくる。
「ユイちゃんだよね？頑張ろう。」
「…A…」
ふー、とため息をついたアンが、私の意思が変わらないことを確認したのかクイナに向かって「4人に変更よ。」と言った。
「えぇ！？嘘、子供ォ？」
クイナが驚嘆の声を上げる。
どの車にすればいいんよ、と困り果てた声を上げたところで、後ろから声がした。
「あの、そっちよりこっちの方がコンパクトでいいと思います」
クイナが疲れたように、「なんや自分、詳しいんか」と問いかける。
腰に手を当てて威圧するクイナの様に、「ひっ」と情けない声を上げた男の人。
タッタくんに少しだけ似ている。
雰囲気も、年齢も。
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みりん(プロフ) - はーとさん» わぁ嬉しいです( ¤̴̶̷̤́ ‧̫̮ ¤̴̶̷̤̀ )！ 褒め方が上手すぎて更新意欲が止まりません！笑 今後ともよろしくお願いします！ (2023年1月26日 2時) (
レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
はーと(プロフ) - みりんさん» 本家のストーリーもありつつチシヤとのシーンがオリジナルで加えられていて最高です✨️✨無理はせずにこれからも更新お願いします🙇♂️これからも読ませていただきます^^ (2023年1月25日 17時) (レス) id: f292a3492c (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - そらのさん» 嬉しいです…！止まらなくて、気づいたらもう移行なのですが最後まで付き合ってくださるとありがたいです՞･֊･՞！ 更新が捗ります🫶🏻 (2023年1月25日 4時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
そらの(プロフ) - 主様の小説本当好きです！チシヤの小説少ないのでこの作品が楽しみで仕方ないです！更新楽しみにしております！ (2023年1月25日 4時) (レス) @page47 id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - はーとさん» 嬉しいコメントありがとうございますꈍ .̮ ꈍ こういうコメントのおかげで更新する気力が湧いてきます！今日も頑張りますね💪🏻( ¤̴̶̷̤́ ‧̫̮ ¤̴̶̷̤̀ ) (2023年1月25日 3時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みりん | 作成日時：2023年1月18日 5時
