最期の言葉 ページ25
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ホールにガヤガヤと人が集まるこの時間帯は、いつも胸がザワつく。
配られた紙をカサリと開くと、そこにはゲーム会場の名前が書かれていた。
昨日はアサヒちゃんとモモカちゃんと話し込んでしまって少しだけ寝不足だったから、今日はゲームが振り分けられなければいいと願っていたのに。
くしゃ、と手の中で紙を丸めながら、指定された車に乗り込む。
「Aじゃないか」
ふと後ろを見ると、無精髭を生やした男性が余裕そうな顔で立っていた。
「…あ、ボーシヤ、さん」
「君も今からゲームか」
「はい」
ゲーム前のアドレナリンでハイになっているのか、誰も私たちの会話を気にもとめない。
「ビザは残り3日あるんですけどね」
「いいじゃないか。ビザはあればあるほど良い」
確かにそうかもしれないけれど。
「ボーシヤさんもゲームですか？」と聞くと、
「ああ。どうしても必要なカードがあってな」と言った。
「必要なカード？」
少し考える素振りを見せたあと、急に私の耳元に唇を近づけて少し掠れた声で囁く。
「ハートの10だ。」
「…ハートの10？」
「ああ、それだけがどうしても出現しない」
もしかして昨日の幹部会議と関係あるのかな。
「ハートってことは、心理戦ですよね」
「ああ」
「…そう簡単には出てこない気がしますね」
「君もそう思うか」
ハートは1番残忍だ。
アリスが大切な人を亡くしたのもハートのゲームだと聞いた。
その10と来たら難易度は上がる。
「…来るべき時に、来るのかもしれないですね」
「…来るべき時？」
興味深そうに私を見つめる。
余計なことはしないって決めたのに。でも、こんなに興味を示すとは思わなくて思わずたじろいだ。
「私が運営なら、ハートの10なんてモノは最後のデザートに取っておきます。」
「…デザート」
「その方が取っておきでしょう。例えば何か、大きな出来事があった時。ボルテージが高まった時に、差し出すんです。そのデザートを」
「…君は、」
不意に頬に手を当てられて、その手のひらの冷たさに驚く。
心做しか瞳まで底なし沼のように見えてきてしまって、時が止まった。
「…成程な。もっと早く君と出会いたかった。チシヤもハマる訳だ」
「…っ、あの、ボーシヤ、さん」
緊張している私を真正面から見つめる。
数秒間見つめあったあと、ふ、と笑ってから「じゃあ、言ってくる。」とガウンを翻した。
「ああ、君もくれぐれも死なないように」
それが、ビーチトップの「ボーシヤ」の、最期の言葉だった。
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みりん(プロフ) - はーとさん» わぁ嬉しいです( ¤̴̶̷̤́ ‧̫̮ ¤̴̶̷̤̀ )！ 褒め方が上手すぎて更新意欲が止まりません！笑 今後ともよろしくお願いします！ (2023年1月26日 2時) (
レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
はーと(プロフ) - みりんさん» 本家のストーリーもありつつチシヤとのシーンがオリジナルで加えられていて最高です✨️✨無理はせずにこれからも更新お願いします🙇♂️これからも読ませていただきます^^ (2023年1月25日 17時) (レス) id: f292a3492c (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - そらのさん» 嬉しいです…！止まらなくて、気づいたらもう移行なのですが最後まで付き合ってくださるとありがたいです՞･֊･՞！ 更新が捗ります🫶🏻 (2023年1月25日 4時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
そらの(プロフ) - 主様の小説本当好きです！チシヤの小説少ないのでこの作品が楽しみで仕方ないです！更新楽しみにしております！ (2023年1月25日 4時) (レス) @page47 id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - はーとさん» 嬉しいコメントありがとうございますꈍ .̮ ꈍ こういうコメントのおかげで更新する気力が湧いてきます！今日も頑張りますね💪🏻( ¤̴̶̷̤́ ‧̫̮ ¤̴̶̷̤̀ ) (2023年1月25日 3時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みりん | 作成日時：2023年1月18日 5時
