ビーチ ページ13
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「…っ、」
重い頭を持ち上げる。
最悪な夢だった。何か嫌な出来事があると、決まって母の夢を見る。
瞼をゆっくり開けば、久しぶりの光に目が眩んだ。
「あ、起きた？」
軽薄そうな顔。目の前で手のひらをヒラヒラと振る彼に、何故か安心感を覚えてしまった。
「…チシヤ」
「あ、大丈夫そうだね」
少しだけ顔を動かすと、馬の被り物と血の香り。
思わず後ずさると、チシヤが「おっと」と私の体を受け止めた。
「っ、これ…！」
「顔は見えちゃ怖いだろうから被り物を被せたんだけど、やっぱり移動させればよかったねぇ」
「…ごめんなさい、私、」
ぐちゃぐちゃになったこの人も、何かの「ゲーム」に負けたのだろうか。
黒幕と思っていたのに、まだ先は長そうだ。
「…君は何も悪くないでしょ」
「私、何も出来なかった…、」
「でもここを探し当てて、奥の部屋に逃げ込んだ。何もせずに死んで行った人たちもいる中で。」
慰めようとしてくれているのか。
「もう見ない方がいいよそっち」と、私を立たせて出口へ向かう。
さっきの人は、どうしたんだろう。
意識が無くなる直前に、「アリス！」と叫ぶ男の人の声が聞こえた気がする。
「アリス」という名前なのかもしれない。どちらにせよ、次会った時に謝罪をしなければ。
彼が奮闘してくれたおかげで今の私があるのだから。
「…あの。」
「ん？」
マンションを出ながら彼は振り向いた。
飄々とした顔に、何を考えているのか分からない黒い瞳。
銀髪とのギャップで、涼やかな目元に魅了される人は多いだろう。
「ありがとうございました。」
「いや、別に。こちらこそ」
素っ気ない。
だけど知っている、私を助けてくれようと腕を掴みかけたその手を。
「…ふふ」
なんだか面白くなって思わず笑いが込み上げた。
こんなゲームの直後なのに不謹慎かもしれないけれど。
少しだけ目を見開いた彼は、何かを言いかけてやめた。
「…じゃあ、私はこれで」
「着いてこないの？」
「え？」
行く宛はあるの？と問われると、「ない」としか言いようがない。
まだこの世界に来て2日目だ、居場所はおろか行くあても仲間も居ないのに。
「じゃあ来なよ、“ビーチ”に」
「ビーチ…」
ゆっくりと上げられた腕には、リストバンドが着いている。
そういえば、さっきの坊主の男の人も付けていた。
ビーチ、に行けば何か分かるのだろうか。
着いて来るも来ないも君次第だけどね、とまたも突き放した言い方をして、スタスタ歩いていく。
ここにいても何も変わらない。
私は意を決して、彼の後を追うように踏み出した。
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みりん(プロフ) - はーとさん» わぁ嬉しいです( ¤̴̶̷̤́ ‧̫̮ ¤̴̶̷̤̀ )！ 褒め方が上手すぎて更新意欲が止まりません！笑 今後ともよろしくお願いします！ (2023年1月26日 2時) (
レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
はーと(プロフ) - みりんさん» 本家のストーリーもありつつチシヤとのシーンがオリジナルで加えられていて最高です✨️✨無理はせずにこれからも更新お願いします🙇♂️これからも読ませていただきます^^ (2023年1月25日 17時) (レス) id: f292a3492c (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - そらのさん» 嬉しいです…！止まらなくて、気づいたらもう移行なのですが最後まで付き合ってくださるとありがたいです՞･֊･՞！ 更新が捗ります🫶🏻 (2023年1月25日 4時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
そらの(プロフ) - 主様の小説本当好きです！チシヤの小説少ないのでこの作品が楽しみで仕方ないです！更新楽しみにしております！ (2023年1月25日 4時) (レス) @page47 id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - はーとさん» 嬉しいコメントありがとうございますꈍ .̮ ꈍ こういうコメントのおかげで更新する気力が湧いてきます！今日も頑張りますね💪🏻( ¤̴̶̷̤́ ‧̫̮ ¤̴̶̷̤̀ ) (2023年1月25日 3時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みりん | 作成日時：2023年1月18日 5時
