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☆62話☆ ページ31

メリオダスside


なんでそんな期待しちまうんだろーな…

1番近くにいたやつに振り向いてくれるなんて、それは当たり前のことじゃない
誰だってそういうんじゃないのだから


だから、俺はおかしい



「大丈夫?」

「あっ、おう……大丈夫」



心配そうに顔を覗き込む彼女に笑って返す
なんかいつもこんな感じになる。どっちかが心配して、どっちかが大丈夫って言って

互いに踏み込まないから進まない


それはあいつも同じだ。今だって、記憶の事だってそう。もちろん俺の事も

やってることは素直なのに、どうしても空回りする



「話ってそれだけか?」

「あ、まぁ……そんな感じ」

「そっか」



どちらも何も話さないから気まずい空気が流れる
掻き消す用に勢いよく立ち上がると、Aもつられて立った



「じゃあ……もう戻るか」

「うん………あ、団長…ちょいこっち向いて?」

「…?いいけど…」




くるりと彼女にと振り返る


すると、唇に触れた柔らかいもの
両手で俺の頰をそっと包み、ぶれることなく綺麗に収まる


ちっちゃな唇は、俺のそれに落とされた




「っ!?」



顔が熱くなって、目の前にいる人を見て初めて状況を把握した


“Aにキスされた”


その文章が頭の中でぐるぐる回る


柔らかくて、甘くて。俺もこの頰を包んで頭を抑えて、ずっとずっと味わっていたい


…でも今の俺にはできないから
名残惜しくも離れ、彼女は俺に背を向けた



きっと一瞬の事なのに。とても長かった。だからこそ悔しい



「……話聞いてくれてありがと
_____メリオダス…」



見えないけれど、その耳は真っ赤だった

俺の期待と喜びは同じ割合で積もっていく。お前に名前を呼ばれるたびに懐かしくなってうれしくなって
俺の頰は緩み続ける



「っ…じゃあね!みんなには内緒だよ団長!!」



そう言って彼女は去っていった
今までにないスピードで、あっと思った頃には俺一人だった


ぽつん、と残された空間でさっきのことが頭によぎる


キス…
Aが俺に。したのか。本当に
嘘のようだけど、ほっぺをつねればわかった



「…だから期待しちまうんだよ。俺バカなんだから」




ベッドに潜って寝ようとしても、あの感触は忘れられない

朝起きると、俺の左手は唇にあった

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ヒナ(プロフ) - 誤字が気になります (2019年7月6日 14時) (レス) id: e00283715b (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ(プロフ) - 誤字が気になります (2019年7月6日 14時) (レス) id: e00283715b (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - アクトさん» ありがとうございます! (2019年5月21日 21時) (レス) id: 0673ec93e1 (このIDを非表示/違反報告)
アクト - お気に入りです (2019年5月21日 16時) (レス) id: 6d51c4672c (このIDを非表示/違反報告)
歩未@アニメ大好き(ノ*゜▽゜*)(プロフ) - リオさん» はい! (2016年2月6日 10時) (レス) id: d80d27525f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リオ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rio1001/  
作成日時:2015年12月16日 21時

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