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あの日から、あのストーカーは私の周りに現れなくなった。
コンビニにから出た後、伏見さんはわざとその男の前を通った。
すごく怖かったけど、その男は真っ青な顔で"キョウロウ"と呟いていて…何が何だか私だけ理解していないようだった。
「いなくなったんすねぇ、ストーカー。」
『…劇団の人に助けてもらって。』
「それはよかったです。」
『全然よくないでしょ。』
「まぁ…俺としても、俺が助けたかった感はありますけど?」
『そういうの今はやめて。』
今いるのは、都内にある小さなビジネスホテル。
…私は、あの日から寮に帰れていなかった。
仕事とかじゃない。
ただ、私が怖いだけ。…伏見さんにどう顔向けしたらいいのかわからない。
こどもみたい、私。
本当に情けない。…こんなこと、今まであったことなかったのに。
"泊まりのロケがある。"なんて、まるで浮気してる女みたいな嘘までついた。
…ついでに言うと、ジュンくんはバレた日から毎日ここに来てるだけで一緒に泊まってるわけじゃない。
「…この生活、いつまで続けるつもりですかぁ?」
『…わかんない。』
「正直、皇さんあたりにはもうバレてると思いますけど。」
『いや、それは流石にないと思う。天馬くん私のスケジュールとか気にしないだろうし。』
「…それマジで言ってんすかぁ?」
はぁ、とジュンくんは大きなため息をついた。
…なんでかはわからないけど。
「…あー、あと。Aさん野村Pの仕事まだ受けてないってマジですか?」
『…それ誰から聞いたの。』
「本人っすよぉ。」
頭がいたくなるばかりで休めない、そんな日が最近続いていた。
身体的にも、精神的にも。
土井さんがいなくなったために、全部自分でしなきゃいけなくなったスケジュール管理。
えげつないほどの稽古。
監督のご機嫌とり。
勉強。
…そして、ジュンくんが言った"お仕事の要請"。
「どんな仕事なんすかぁ?」
『…今話題の"地毛がピンク色の芸能人"を3人選抜して、東京ドームでライブを成功させる。
みたいなやつ。あのプロデューサーさん、今話題のメンツ使えば数字が出るから好きなんだけど…これは流石に馬鹿げてる。』
考えただけでぶり返してくる頭痛。
…なのに何故だか、MANKAI寮の騒がしさが恋しくなった。
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夢花(仮垢) - 夢主ちゃん頑張れ…。あ、どこかは忘れましたが(すみません)、この続編のどこかに「してしまった」の所が「してひまった」になってました。今自分が覚えてるってことは割と最後の方です()中途半端 (2018年11月16日 9時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 悠斗さん» コメント、並びにご指摘ありがとうございます。早急に訂正させていただきます。大変失礼いたしました。 (2018年4月7日 14時) (レス) id: 92b7e8a327 (このIDを非表示/違反報告)
悠斗(プロフ) - いつも楽しく読んでいます。文字ミスなのですが120ページの「仕事が立て込んでて、MANKAI両へ帰る余裕がなかったのだ。」 のところで『両』ではなく『寮』ですよね。 (2018年4月7日 11時) (レス) id: c0cfb0f959 (このIDを非表示/違反報告)
ますみすみ(プロフ) - いやぁぁぁッ///みすみーッ///本当この作品大好きです!!! (2018年4月3日 0時) (レス) id: 43e6e1321d (このIDを非表示/違反報告)
フユキ(プロフ) - ひぃゃゃゃゃああ!!!三角〜!!!かわいいよ〜〜〜!!! (2018年4月2日 21時) (レス) id: 700d4b33cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青 | 作成日時:2017年11月6日 22時