【A3!】天才ちゃんの化けの皮。2nd

#93 ページ48

.






『ジュンくん、なに？私に喧嘩売ってるの？』





「えぇ？オレがAさんに喧嘩なんて売るわけないっすよぉ？」







天馬くんにおかしなことを聞かれた翌日、私はジュンくんが通っている学校の寮まで足を運んでいた。
電話とかだったら他の人に聞かれるかもしれないし、下手に他の人に見られても困るし。






…まぁ、ここの寮女子禁制だからどっちにしろやばいんだけど…。







『そう。じゃあ、なんで天馬くんに意味深なこと言ったの？』





「あぁ…皇さん言ったんすねぇ？それは意外でしたね。」





『…この前摂津くんにあったときも、やめてって言ったんじゃん。』







いつもと変わらない調子のジュンくんに、だんだんイライラしてくる。







「だっておかしいでしょう。…Aさんがストーカー被害にあってるってことを、一緒に住んでるやつが誰も知らないなんて。」






『…っ。』






「Aさんは変にそいつらに害がないようにしてるつもりかもしれないっすけど？


…俺だったら、早く知って守ってやりたいって思いますね。」





『…改めていうけど、絶対手ェ出さないでね。他事務所のアイドルさん巻き込むとか絶対ダメだから。』





「…オレは巻き込まれてもいいんすけど。」







ジュンくんが、私の肩を抱いてくる。
私はその手を払って、少し離れた。






「…しかも、このタイミングでマネージャーが妊娠とかやばくないですか？」





『おめでたいんだからそういうこと言わないで。』







私がストーカー被害に遭いはじめたのは、2週間前くらいからだった。
そしてその1週間後、土井さんが産休に入った。
ちなみに、来週は結婚式。







「新しい人雇えばいいのに。」





『…今更無理だよ、土井さん以外なんて。』





「じゃあ、やっぱり劇団の奴1人だけでも言っといてくださいよ。…何かあってからじゃ遅いです。
それか、警察。」







ジュンくんが、真剣な目を向けて訴えてくれる。
…確かに、彼が言っていることは正しい。そんなことはわかってる。





警察に言うのは、社長を通さなきゃだから難しい。今私マネージャーいないし。
それに、劇団の人に言うのは…。








『あの劇団の人さ、1人残らずみんないい人なの。
私がそんなこと打ち明けたら、絶対…守るとか、助けるとか言い出すんだよ。


あの人たちも演者なんだよ？私と一緒。
…そんな人たちを危険に晒すとか、しちゃだめだよ。』








.

#94→←#92

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す