【A3!】天才ちゃんの化けの皮。2nd

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『…しんどい…。』






今日の仕事はアフレコが3本、グラビアが3件、ラジオが2本、テレビが2本。
ゆっくり休憩する時間もほどほど無く、1日を戦い抜いた私の身体は悲鳴をあげていた。





…この生活をもう何年もしてるとはいえ、近年の忙しさは以前のものよりも比べ物にならないくらいしんどかった。
正直根を上げてしまいたくなることもしばしば。








『帰りました…』






挨拶をしてMANKAI寮の玄関の扉を開ける。
すると、なぜかそわそわしながらスマホを握りしめいている皇くんが。





何故ここにいるのか、何故そわそわしてるのか、突っ込みたいことはいろいろあった。








『…何してんの。』





「うおっ！！おまっ、由井！お前いつからいたんだよ！」






『さっき挨拶しましたよー皇さーん。』






皇くんを軽くあしらいつつ、パンプスを脱ぐ。
は〜〜〜〜、やっぱりヒール疲れるなぁ…。






「とりあえずお帰り。」





『そこは言ってくれるんだ。ただいま。』





「ちょうどよかったぜ、お前に連絡しようと思ってたんだよ。」





『皇くんが私に？何かお仕事？』





「なんで俺がお前に連絡したら全部仕事になるんだよ！」







そう言った皇くんの顔は…なんか嬉しそうだった。
なんていうのかな、嬉しいのを必死に隠してるけど隠しきれてない、みたいな…。








『…大丈夫？』





「大丈夫だわ！…とりあえず、お前も冷蔵庫の中見てこいよ。これの気持ちがわかる。」








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キッチンへ行くと、いつもいるはずのいづみさんや伏見さんはおらず無人だった。
…ここが無人なのはなんだか新鮮。





何でだろう、なんて疑問はちょこちょこあったけどとりあえず本題。
皇くんに言われた通り冷蔵庫を開けて見る。







『えっ…』





「とーだ？…これ、やべぇよなあ。」






中にあったのは、大量の炭酸飲料。
…でも、ただの炭酸飲料じゃない。昨日公開されたばかりの、私と皇くんが一緒にCMに出たやつだ。
すごい人気らしくて、都内のコンビニやスーパーは全滅とかってなってるのに。





『みんなそんなに飲みたかったの？これ。』





「お前オレと同じこと言ってるぞ…。


オレもさっき言ったんだよ、監督に。…そしたらな、"Aちゃんと天馬くんが出た特別なやつだから欲しいんだよ"って言われた。


こーゆーの、初めてなんだよな。オレ。」





皇くんが頭にポンと手を乗せる。
少しだけ、頰が緩んだ。

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