20 ページ20
団長にサプライズで色紙を渡したり、全員で記念写真を撮ったり、年に一度しかない楽しい体育祭の打ち上げは終了となった。
荷物を持ち、帰る方向の違う友人達に別れを告げて駅に向かおうとすると、後ろから自転車に乗ったゾムに声をかけられる。
が、私は先程友人達と話したときからゾムの顔が見られへんし、改めて片想いを続行することになったことで距離感が分からなくなってしまってどうもぎこちなくなってしまう。
…待って、今まで私どうやって話しとったっけ。片想いしとうときどんな態度で接しとったっけ。いつもの私はどんなんやったっけ。
「あー、ほんま疲れた。今日死んだように眠るんやろうなぁ」
『明日休みでほんま良かったわ』
「生徒会は行かなあかんねん…」
『うわ、可哀想。皆の代わりに私がぐっすり寝たろ』
「ふざけんなお前も来いや」
『私生徒会ちゃうやろが』
「生徒会みたいなもんやろが」
こんなんやったっけ、こんな感じかな。相変わらずゾムの方は見れないまま会話を続ける。そしてこいつはなんでもないように隣に並んどうけど、駅まで送ってくれるってことなんかな。
すっかり日も落ちて初夏の夜風が頬を撫でる。どこか生温い風はこれから来るであろう暑い暑い夏を簡単に想像させた。体育祭が終わってすぐに期末テストを迎え、その後は夏休みが待っている。
その前に夏用の制服のスカートも出さなくてはいけないし、私服も夏用に衣替えしなくては。浴衣と水着も出しておこう。あぁ、夏が楽しみで仕方ない。
「何ニヤニヤしてんねん」
『えっ、うそ。顔に出とった？』
「思いっきりな。何考えとったん？」
『はよ夏来うへんかなーって色々想像しとった』
「全然俺の話聞いてなかったんかい。…まぁでも確かに、夏は色々出来るもんなぁ」
『お祭り行きたいし海も行きたいし、色々行きたい所あるなぁ』
なら、一緒に行こうや。
自転車のちりちりとしたチェーンが回る音と、2人のローファーが鳴らす足音と、まだ遠くの方で騒いでいるクラスメイトの声に紛れて呟かれた小さな声。
お互い前を向いていたから表情は分からなかったけれど、なぁ、それ、どんな気持ちで言ったん？皆で、ってことなん？それとも、
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 862人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
悠亜(プロフ) - guririさん» コメントありがとうございます！きゅんきゅんして頂き幸いです…続編もよろしければお楽しみください！読了ありがとうございます！ (2019年11月20日 23時) (
レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
guriri - ヤバいめっちゃキュンキュンする．．．！ (2019年11月19日 20時) (レス) id: 5d86136675 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - 友希那さん» 友希那さんコメントありがとうございます！毎日更新出来なくて申し訳ありません…。楽しみにして頂けてとても嬉しいです。今後もキュンキュン出来るような展開に持っていきたいのでぜひよろしくお願いします！ありがとうございます！ (2019年8月6日 19時) (レス) id: 66cdfbcc74 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - ひーちゃんさん» ひーちゃんさんコメントありがとうございます！狂犬組良いですよね、とても夏が似合う…。そろそろその2人も出そうと思ってたのでリクエスト嬉しいです。ありがとうございます！ (2019年8月6日 19時) (レス) id: 66cdfbcc74 (このIDを非表示/違反報告)
友希那 - ｷｬｰｰｰｰ!!毎日コツコツ更新チェックしながら見てるものです。いつもキュンキュンさせてもらってますよぉ！これからも応援してます! (2019年8月4日 18時) (レス) id: 43ce5d2e93 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：悠亜 | 作成日時：2019年5月8日 21時
