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自分の椅子に座っていると、暇をしていたらしいシオンに話しかけられる。どうやらリホは日射にやられたらしい。
シオンと校庭の隅で談笑しながら競技の練習を見つめる。中央ではゾムとグルッペンがひとつのタイヤを争って戦争しているのが見える。歓声がえぐい。
日陰行こ、とシオンに連れられて校庭の隅に移動し座り込む。
「…ねー？リホの好きな人、誰なのかな」
『今度、話してくれるって』
「生徒会の誰かなのかな、やっぱり」
『そうじゃん？割とあいつらと絡みあるし』
「…ゾムだったら、どうすんの」
静かに呟いた声。周りの音に溶けこみながら聞こえたその言葉は簡単に私の頭を支配した。日陰に入ったことで日差しから解放され、そよそよと流れる風が小さく私とシオンの長い髪を揺らした。
『…バレてた？』
「なんとなくね。ゾムのこと話してるA、楽しそうだし。たまに辛そうな顔してたけど」
あと意識してるのかわからないけど、ゾムのこと目で追いすぎ。
からからと笑いながらシオンは私に告げる。…あー、この様子じゃリホにもバレてたんやろうなぁ。それぞれ想いを馳せる相手がいるのに、私は彼女の想い人を知らない。親友と好きな人が同じかもしれないなんて残酷なこと、他にあるだろうか。
「…ずっとゾムのこと、好きなの？」
『せやな、去年振られたけど』
「そうなの！？ごめん無神経に」
シオンは眉を下げて謝ってくる。口は悪いけれど純粋な心を持つ彼女に言わなかった私が悪い、と笑いかける。隣に座る彼女はバツが悪そうに目を泳がすが、私が世間話のように淡々と話を続けると少しずついつもの調子に戻って行った。校庭の真ん中では、まだ2人はタイヤを奪い合っていた。
『本番、400mリレーで1位になったら諦めないことにしたんだ』
「…終わらせることになってもいいの？」
『いいよ。仕方の無いことだし、ここで決めないと私はこれからもずっと進めないし』
「…そっか。どっちに転んでも、Aにとって後悔しない選択だといいね」
ぱたぱたと手で風を起こしながら、中央の争いを眺める。そろそろ決着が着くらしい。歓声が響き渡る中、私たち2人だけが世界に取り残されたような、穏やかな時間が進んでいた。
「…私は2人とも、幸せになってほしいよ」
『…私も、そう願うよ』
今日、ほんとに暑いね。日焼けしそうだよね。いつもよりワントーン低い声で会話する私たち。両手の中でちゃぽん、と少しずつ冷たさを失うスポーツドリンクが揺れた。
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悠亜(プロフ) - guririさん» コメントありがとうございます！きゅんきゅんして頂き幸いです…続編もよろしければお楽しみください！読了ありがとうございます！ (2019年11月20日 23時) (
レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
guriri - ヤバいめっちゃキュンキュンする．．．！ (2019年11月19日 20時) (レス) id: 5d86136675 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - 友希那さん» 友希那さんコメントありがとうございます！毎日更新出来なくて申し訳ありません…。楽しみにして頂けてとても嬉しいです。今後もキュンキュン出来るような展開に持っていきたいのでぜひよろしくお願いします！ありがとうございます！ (2019年8月6日 19時) (レス) id: 66cdfbcc74 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - ひーちゃんさん» ひーちゃんさんコメントありがとうございます！狂犬組良いですよね、とても夏が似合う…。そろそろその2人も出そうと思ってたのでリクエスト嬉しいです。ありがとうございます！ (2019年8月6日 19時) (レス) id: 66cdfbcc74 (このIDを非表示/違反報告)
友希那 - ｷｬｰｰｰｰ!!毎日コツコツ更新チェックしながら見てるものです。いつもキュンキュンさせてもらってますよぉ！これからも応援してます! (2019年8月4日 18時) (レス) id: 43ce5d2e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠亜 | 作成日時：2019年5月8日 21時
