_58 ページ8
..cn..
涼介が見てるのは僕じゃない。まだ。
そんなことわかってる。
でも、やっぱりどこかで期待してたんだろう。
涼介に呼ばれて、求められたって舞い上がって、
「…ふぅ......っよし、」
気合いを入れ直さなきゃ。
涼介の、1番に、“唯一”になるために。
「…ん？…ねん、ぉ〜い ちねんっ、」
「っ、」
呼ぶ声に顔を上げると目の前には僕の顔を覗き込む恋敵。
…ずるい。
ファッションには疎いくせに襟ぐりの広い今日のTシャツは前屈みになると奥がチラチラと覗いて見えて、
眉を寄せるその顔も、少し突き出た唇も、涼介の、好きそうな顔だ。
狙ってやってるわけじゃないのはわかってるけど、だからこそ余計にずるい。
誘うのは宏太だけにして なんて言ってもどうせ不思議そうな顔をされるだけなんだろうけど、
「ねぇ、知念ってば、」
「ぁ…ごめん、何？」
「だからフットサルのことなんだけど、
やぶに見てるだけならいい？って聞いたら他のメンバーにも聞いてこいって言うからさ、
ね、知念 いい？」
「僕は別にいいけど、」
「やった！じゃああとは、大ちゃんと裕翔と…」
「っ涼介には僕から言っとく！」
「へ…？」
「ぁ、いや、多分OKすると思うし、」
「え、あ…そう、だよな、ごめん…」
じゃあ頼むな、って眉を下げて別に悪いのはひかじゃないのに、焦って空回りしてバカみたい。
僕はひかになれるわけじゃないし、なれたところできっと何も変わらない。僕は僕で勝負するって決めたのに。
少しでも2人の接点を減らしたい、なんてなんて最低なことを考えたんだろう。
同じグループでいる限り、そんなこと絶対に無理なのに。
「ちーねんっ」
「わっ……って、なんだゆーてぃか」
「なんだって失礼だな、ごめんねやまじゃなくて」
「…別に、そんなこと言ってない」
「顔に書いてあるよ。あと、そのやまがさっきから心配そうにちぃのこと見てるよ。」
「え…」
振り返るとたしかに涼介と目が合ってなんだか曖昧な笑みを返されたけど 元気だしてよ と背中を押されてそっちへ行くと「なんかあった？」と優しく僕の頭を撫でる。
それなのに…
こんな時でも涼介の頭を撫でるひかを思い出す僕が、僕は嫌いだ。
「…あのさ、涼介」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 293人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぺす。(プロフ) - うめこさん» ありがとうございます(⑉• •⑉) (2023年3月16日 20時) (
レス) id: 206ade82dd (このIDを非表示/違反報告)
うめこ(プロフ) - ハァ…やっぱ甘々最高です（´-`） (2023年3月14日 12時) (レス) @page44 id: 47eba4f513 (このIDを非表示/違反報告)
や(プロフ) - 更新待ってます。 (2022年2月18日 23時) (レス) id: 5f35425ac6 (このIDを非表示/違反報告)
ぺす。(プロフ) - ボボンデスさん» ありがとうございます、そう言っていただけるととても嬉しいです！やっぱり「面白い」と思っていただけるのが書いている側としては1番嬉しいです(^^ 更新頻度は遅いですが、今後もよろしくお願い致します (2020年3月6日 4時) (レス) id: 8fc2c5dabd (このIDを非表示/違反報告)
ボボンデス - めちゃくちゃ面白いです！！私も健気な知念くんが報われてほしいな、と勝手に思っています。結末がどうであったとしても、続きを楽しみにしております。 (2020年3月3日 23時) (レス) id: c7669e2271 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぺす。
| 作成日時：2017年2月2日 0時
