_53 ページ3
.
｢付き合ってください｣
そう言った瞬間、知念の目がまた新しい涙で濡れる。
俺は最近、知念を泣かせてばっかりだ。
頬を伝う雫を拭おうと伸ばした手に知念は一瞬びっくりしたように目を開いたけれど、そっとその手に自分の手を重ねてふわりと微笑んだ。
頬にはまだ雫が伝い落ちるまま。
その美しさを表すならやっぱり “ 花 ” なんだろう。
光くんへの気持ちは決して消えたわけではなくて、
今でもあの笑顔を、手のひらの感触を、思い出すだけで胸が苦しくなるのに
今 目の前で微笑んだ彼を
綺麗だと
愛しいと感じたんだ。
.
撮影終了の声がかかったのは夜19時を少し過ぎた頃。
大ちゃんにはメールを送った後に電話で報告もしたし、今朝の雰囲気からして圭人も多分もう気づいてる。
でも圭人も大ちゃんも何も言わなかった。
ただ大ちゃんは｢そっか｣って言っただけ。
きっとその声からして笑ってくれていたと思う。
俺にとっての最強の味方。
大ちゃんが笑ってくれるだけで、俺の決断は間違ってないと思えるんだ。
逆のときは逆なんだけど、
｢今日のお仕事は以上です、乗ってください ご自宅でいいですか？｣
車を回してきてくれたマネージャー。
その車に乗り込みながら、携帯を開く。
理由なんていちいち思い浮かばないけど、
ただ 無性に知念に会いたくなった。
あの笑顔を見たくなった。
涼介ちぃ、今暇?
迷った末に送ったシンプルなメッセージ。
すぐに付いた既読と返信からは喜んでるのがひしひしと伝わってきて、
あぁ 可愛いなぁって
.
｢いらっ、しゃい｣
｢お邪魔します、｣
今まで知念が家に来たことなんて数え切れないほどなのに、そのどれとも違う 恋人同士 という関係に少しだけ緊張してないる。
それは知念も同じみたいで、見飽きたであろう俺の部屋を意味もなくキョロキョロ。
｢え、っと……ごめん、急に…｣
｢別に……
…ぼくも、あいたかった、し…｣
俯いた耳が紅く染まる。
なんだこれ、めっちゃ可愛い。
誰かを好きになって胸が苦しくなるのは、
悲しいものばかりだと思ってたけど
こんな 苦しい もあるんだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 293人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぺす。(プロフ) - うめこさん» ありがとうございます(⑉• •⑉) (2023年3月16日 20時) (
レス) id: 206ade82dd (このIDを非表示/違反報告)
うめこ(プロフ) - ハァ…やっぱ甘々最高です（´-`） (2023年3月14日 12時) (レス) @page44 id: 47eba4f513 (このIDを非表示/違反報告)
や(プロフ) - 更新待ってます。 (2022年2月18日 23時) (レス) id: 5f35425ac6 (このIDを非表示/違反報告)
ぺす。(プロフ) - ボボンデスさん» ありがとうございます、そう言っていただけるととても嬉しいです！やっぱり「面白い」と思っていただけるのが書いている側としては1番嬉しいです(^^ 更新頻度は遅いですが、今後もよろしくお願い致します (2020年3月6日 4時) (レス) id: 8fc2c5dabd (このIDを非表示/違反報告)
ボボンデス - めちゃくちゃ面白いです！！私も健気な知念くんが報われてほしいな、と勝手に思っています。結末がどうであったとしても、続きを楽しみにしております。 (2020年3月3日 23時) (レス) id: c7669e2271 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぺす。
| 作成日時：2017年2月2日 0時
