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清々 ページ31





 私の後頭部を掴んでいた主人の手が離された。それは何故か?掴めなくなったからだ。それはどうしてか。

「う"…あ"ぁ"ッ!!」

 羅刹に腹を(えぐ)られたからだ。腹を押さえ込みその場に(うずくま)る主人。みるみる床が主人の血で染まっていく。腰を抜かして泣いている婦人。しかしそれも束の間。一瞬で首と胴体が切断された。頭だけ拾ってそれを喰っている彼。主人を殺さないのは私に対しての当てつけだろうか。

「コイツも良いモン食ってる。脳ミソが美味い。これで俺の知能は上がる。オッサンも良いモン食ってる匂いがする。でもコイツにはしない。コイツはお前と違う」

 私を指さして彼はそう答えた。主人は震えながら涙を流していた。私は震えも涙も出なかった。無表情だった。もうどうにでもなれ、私を鬼にするなら勝手にしろ、そんな感じだった。真っ赤に染まった羅刹の手が私の頬にそっと触れた。私の頬に赤黒い血液がベットリとつく。汚らわしいな、と思った。


「見てろよA。今からお前が主役だ」
違う

「お前がやりたかった復讐劇の幕上げだ」
違う

「一瞬で壊れないように、ゆっくり痛めつけるからな」
違う

「まずは何処にする?腹はやったからー、右眼?指?鼻?脚はどうだ?」
違う

「お前の言う通りにするからさ、言われた場所から壊すから」
違う、そうじゃない。そんなの頼んでない、望んでない。

「何か言えよーなあ、A〜」
「……めろ、」
「え?」
「やめろって言ってんだろッ!!!!」



 久しぶりに出した荒々しい叫び声。その声に驚いて放心する羅刹。恐怖で気を失っている主人。ただ真顔で彼を睨む──────私。


「…は?」

 羅刹はその声を発した瞬間、主人の首を腕で斬った。スパッと言う様な音がした。あぁ、死んだ。


「なんで?」

 彼は私の方に近づいてしゃがみ込んだ。黒い瞳が、私の眼と合わない。焦点がずれている。

「俺はAの為にコイツらを殺した。Aの為に主人(コイツ)を痛めつけた。Aの為に、Aの為に」

 彼は私の頬を掴んだ。さっきみたいにそっと触れたんじゃなく、ガシッと掴んでいた。額から垂れている私の血に触れない様に彼は掴んでいた。

「何でお前は笑わねぇんだ?」
「…笑えない、から」
「何で?嬉しくねぇの?嫌いな奴が死んだんだぜ?清々(せいせい)しねぇの?」


.

両頬→←心臓



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うぇすとり?ぁー(プロフ) - 大ファンです!完結おめでとうございます!伏線回収も回想シーンも最高でした!自分はアザミちゃんが好きです。 (2021年10月3日 23時) (レス) @page48 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
ライアミ - めっちゃ泣けたヨ!布団がめちゃくちゃ濡れてんだけど……………ヤバいネ。感動をありがとアル!泣くことや笑うことはストレス発散になるからネ!終わりヨ! (2021年3月28日 1時) (レス) id: 2c479952a6 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。光華さん、いつも自分の作品にコメントしてくださって、本当にありがとうございます!鬼滅作品を思う存分書いた後、すぐに銀魂復帰しますので、約束です! (2021年1月25日 0時) (レス) id: 611a77bbbd (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 完結おめでとうございます!次も鬼滅ですか!銀魂も鬼滅も好きなので!! 銀魂作品更新応援してます!何時までも待ってますんで、虚無感ゆっくり消化してください (2021年1月24日 18時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いくま | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年1月18日 20時

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