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「あ…お母さん、でしょ?大丈夫?どこか…痛いとこ、とか…」

 唸り声をあげて(うずくま)っている女の人。様子が、どこがおかしい。いや、様子がおかしいんじゃない。

「…おい、アザミ!!!」

 俺は振り向いて遠くにいるアザミを叫んだ。俺の声は彼女には届かない。俺は此処に存在していない人物なのだ。

「…何よ、うるさいわね」

 叫んだと同時に既に隣に居たアザミ。俺はビクッと驚いたがすぐに冷静になりアザミへ話しかける。

「あの女、お前の母親か?」
「…知らないわ」
「嘘つけ!アレは鬼だ、アイツの母親は鬼になってるんだァ!止めろ、お前なら何とかできるだろ!?あのままじゃアイツは…ッ!Aはッ!!」

 俺はそう言いながらアザミの肩を揺らした。されるがままに揺らされるアザミは真顔で、静かで、妙に呆然としていて。

「…何とか、できるなら」
「あァ!?」
「何とかできるならもう何とかしてるわよッッ!!!」
「!!」

 アザミは目を見開きながら、荒々しく叫んだ。俺はアザミの肩をギュッと掴み、ただ見てる事しか出来ない現実を突きつけられた。


「あ"ああ"ぁッッ!!!!」

 そんな叫び声が聞こえたのは、俺とアザミの口論の最中であった。
 俺達二人はすぐ口論をやめ、声のする方へ振り向いた。

「…ッ、オイ!」

 女の人は倒れていた。彼女はそれを支えるように身体を抱いていた。彼女の目からは大量の涙がこぼれ落ちて、何が起こっているのか分からない様子だった。彼女の頬は涙の他に血がついており、彼女の腕には今切ったであろう傷跡。そして母親と呼ばれる女の人の口元には大量の血液。

「…今見てるのは、"過去"なのよ」

 隣にいるアザミが、震えながら言った。


「…変えれるものなら…、変えてみなさいよ」

 あァ、何で俺達は見てる事しか出来ないんだ。


「救えると思った。だって…鬼になってるなんて、思わないでしょ?母親が此処で苦しそうにうずくまってたのよ。…助けるでしょ?"娘"として…"人質"として、助けるでしょ?血を飲ませば…人は救えるのよ。…飲ませるでしょ?普通、飲ませるわよ。でも、飲ませた結果が"(コレ)"よ…笑っちゃうわ」
「……笑えねェ」


 笑えねェよ。何も、笑えねェ。それにお前だって、笑ってねェじゃねェか。ちゃんと、泣いてんじゃねェか。

「…ッ、泣いて…ないわよッ!馬鹿野郎…ッ!」

 声に出てたのかよ。クソ、クソだ。


「何もかも、クソッタレだ」


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うぇすとり?ぁー(プロフ) - 大ファンです!完結おめでとうございます!伏線回収も回想シーンも最高でした!自分はアザミちゃんが好きです。 (2021年10月3日 23時) (レス) @page48 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
ライアミ - めっちゃ泣けたヨ!布団がめちゃくちゃ濡れてんだけど……………ヤバいネ。感動をありがとアル!泣くことや笑うことはストレス発散になるからネ!終わりヨ! (2021年3月28日 1時) (レス) id: 2c479952a6 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。光華さん、いつも自分の作品にコメントしてくださって、本当にありがとうございます!鬼滅作品を思う存分書いた後、すぐに銀魂復帰しますので、約束です! (2021年1月25日 0時) (レス) id: 611a77bbbd (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 完結おめでとうございます!次も鬼滅ですか!銀魂も鬼滅も好きなので!! 銀魂作品更新応援してます!何時までも待ってますんで、虚無感ゆっくり消化してください (2021年1月24日 18時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いくま | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年1月18日 20時

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