必死 ページ13
.
今から始まる絶望の予兆の如く木の葉がユラユラと揺れた。風だ。
「…」
誰かが走ってくる。呼吸が荒い。かなり長い間走っていたのか、それとも走り慣れていないのか。
「…」
誰か、なんて。分からねェ様に言うんじゃねェよ。分かるだろ、今から此処に来るのは誰かなんて事くらい。
「…ッ!か、あ…さん!、そこに、居る…んでしょッ!」
「!」
確かに、此処に来たのは、全力で走っていたのは…彼女だった。けど、彼女の様子は酷く焦っていて周りを見ながら…まるで誰かを探しているような感じで、ひたすら走っていた。
母さん?彼女は今、"母さん"と言ったのか?
「…どういう事だァ?」
首にはしっかり首輪が付けられていて、いつもの黒い袴姿で、彼女はキョロキョロと辺りを見渡していた。
「さっき、屋敷の中の…ッ、部屋から、…見えたの…!」
彼女が叫んでいた。小さな声で、必死に訴えるように。
「母さん、父さん…ッ、
家族の名前を呼んでいる。あァ、彼女は確か長女だったな.。この二人の名前は妹と弟の名前だろうか。涙目で、彼女はずっと名前を呼んでいた。家族が自分を迎えに来てくれた。窓から見えたのは、彼女にとって"希望"そのものだっただろう。
「…お願い、出て…来てよ…ッ!」
これが本当に
「…私、」
「…」
「…私、の血は…変なんだよ。父さんが、…昔、言ってたよね。私の血は他の人とは少し違うから、鬼に会ったら構わず逃げなさい、って」
途切れ途切れだった言葉が、スラスラと流れる様に喋っていた。
「ずっと前、何年前か忘れたけど…鬼に会った。逃げる事が出来ないから、闘ったの。その鬼は…私の血を飲ませたら死んだ。父さんが言ってたように、私の血は鬼を殺せる。そして人に飲ませたら…人を助ける事が出来る」
俯いて顔を隠しながら彼女はそう言っていた。
───────人を、救える?
.
195人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うぇすとり?ぁー(プロフ) - 大ファンです!完結おめでとうございます!伏線回収も回想シーンも最高でした!自分はアザミちゃんが好きです。 (2021年10月3日 23時) (レス) @page48 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
ライアミ - めっちゃ泣けたヨ!布団がめちゃくちゃ濡れてんだけど……………ヤバいネ。感動をありがとアル!泣くことや笑うことはストレス発散になるからネ!終わりヨ! (2021年3月28日 1時) (レス) id: 2c479952a6 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。光華さん、いつも自分の作品にコメントしてくださって、本当にありがとうございます!鬼滅作品を思う存分書いた後、すぐに銀魂復帰しますので、約束です! (2021年1月25日 0時) (レス) id: 611a77bbbd (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 完結おめでとうございます!次も鬼滅ですか!銀魂も鬼滅も好きなので!! 銀魂作品更新応援してます!何時までも待ってますんで、虚無感ゆっくり消化してください (2021年1月24日 18時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ