7 ページ7
.
ローファーの爪先を地面に軽く叩き、私は家を出た。向かう先はあの有名な雄英高校。私はヒーロー科を受験する為に此処へやって来たのだ。此処に来ている生徒達には申し訳ないが、私は別にヒーローを目指している訳では無かった。私は私なりの目的があってやむを得えずヒーロー科を受験する事になってしまったのだ。その理由は、後に諸々説明する。
到着早々、緑谷と会った。こんな大人数の中で同じ学校の人と顔を合わせる確率なんてかなり低いのに。何だか気まずい空気になりつつも私はとりあえず会釈だけしておいた。緑谷は驚きを隠せていない顔のまま私の方に走って近づき、「何で此処に！？」と瞬きを何度も繰り返していた。
「……そりゃあ、目的はひとつでしょう」
「あ、そうだよね…。居ると思ってなかったからびっくりして……」
「言ってなかったからな。まあ…お互い頑張ろう」
とりあえず激励の言葉を掛けて私は緑谷の肩を軽く叩いた。しかしその瞬間、ドスの効いた低い声が私達の背中覆い被さる。
「どけ！！」
私は緑谷と顔を見合せ、そして後ろを振り向く。そこに立っていたのは私と同じくマフラーに顔を埋めてこちらを睨む少年、爆豪勝己だった。爆豪は緑谷を一発ガン飛ばしした後、私の方へ顔を向け「何でテメェが此処に居ンだよ」と舌打ちしながらそう聞いてきた。
「…雄英を受けるために」
「聞いてねェぞこのクソ女が」
「君には関係ないし」
「あァ"！？」
謎にキレられ、私は目を逸らした。この男に構っていたら日が暮れそうな気がしたので私はそそくさとこの場から退散しようと思い、早歩きでその場を去った。緑谷は着いて来なかったが爆豪は「俺の前に立つなや！」と叫びながら私を追い掛け、必然的に二人で入試会場に向かうという前代未聞な出来事が生じてしまったのだった。解せぬ。
実技試験の説明を受けた後、各自会場へと連行された。同じ中学の人との協力はさせない為、私と爆豪と緑谷は違う会場となっていた。爆豪は「テメェらを潰せねェじゃねェか」とボソッと呟いていたが敢えて聞き流した。物騒な考えを持つにも程がある。
会場に着いた私はキョロキョロと辺りを見渡した。何処が一番見通しの良い景色か探すためである。目を凝らし良い感じのビルの上を見つけた私は、自分を操ってその場所へと空中飛行をする。周りの受験者達からの視線を感じたが気にせずビルの屋上へ足を置いた。
仮想敵でも、敵は敵だ。憎き者は容赦なくぶっ殺す。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 742人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麗葉 - とても面白かったです！空白があると読みやすいかなと思います！ (6月19日 14時) (
レス) id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - レオさん» コメントありがとうございます。夢主の過去は後に出てきますので暫くお待ち頂けると幸いです。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - eggちゃんさん» コメントありがとうございます。更新頻度をあげられるよう全力を尽くしますのでこれからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - のむさん» コメントありがとうございます。ファンになって頂けるなんて光栄です。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
