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今までの訓練然り、事件然り、別に自分が一番だと思った事はなかった。いつまでも自分という人間はあくまで一人の女、ただの女子生徒にすぎない。自身の個性に恵まれたとか感謝したいとかなんて思った事もない。爆豪じゃあるまいし自尊心の塊でも無い。───それでも、私は努力をしたつもりだった。どんな形であれ、自分は昔の自分よりも成長していると思っていた。そう、思っていた。
────ただの思い違いだった。
現実は甘くない。中学の頃から、いや、ひょっとするともっと昔からそう頭では分かっていた筈だった。ちゃんと理解していたつもりだった。なのに、なのに私は無意識のうちに自分という存在意義を誇張していた。ただただ虚しかった。気づけば私の身体は地面に叩きつけられており、硬い土に何度も何度も顔面を押さえつけられていた。小枝を折るかの如くあっさりと右腕の骨が折られた。痛い。今までに体感したことのない鋭い激痛が全身から悲鳴を上げる様な形で走り去った。このままだと、私は死ぬ。
イレイザーが必死に私を守ろうと手を伸ばす。しかしその手は虚しくも脳無によって妨げられる。こんな状態になっても生徒である私を守ろうとするイレイザー、いや、相澤先生に少しばかり胸が痛んだ。私が突っ走ったばかりに。プロでもないただのガキが言うことも聞かずに此処に来たばかりに。まだ生きている左手をこれでもかと言うくらい握り締め、血だらけなのにも関わらず奥歯をギシりと噛み締めた。
すると死柄木の近くに黒いモヤの様な物体が空間に渦巻いた。黒霧と呼ばれるその物体は死柄木に話しかけている。私は掠れていく視界の中でその光景をただ静かに見つめていた。
「黒霧。13号はやったのか」
「行動不能には出来たものの散らし損ねた生徒がおりまして。一名逃げられました」
黒霧がそう言った瞬間、死柄木は一瞬黙り込んだが、言葉の意味がやっと理解したのか頬をガリガリと掻きむしりながら盛大な溜息をついていた。その光景を見るのでさえ私は不快で仕方なかった。寒さが、悪寒が止まらなかった。
「ゲームオーバーだ」
死柄木がそう言い放った。流石に何十人ものプロ相手じゃ敵わないと。今回ばかりはゲームオーバーだと。意外にも素直に死柄木は退散すると言った。だから私は一瞬だけ呆気に取られた。取られて、しまった。瞬きをした。もうその瞬間だった。死柄木は水中に隠れていた蛙吹の顔面を掴みかかろうとしたのだった。ああ、終わる。
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麗葉 - とても面白かったです！空白があると読みやすいかなと思います！ (6月19日 14時) (
レス) id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - レオさん» コメントありがとうございます。夢主の過去は後に出てきますので暫くお待ち頂けると幸いです。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - eggちゃんさん» コメントありがとうございます。更新頻度をあげられるよう全力を尽くしますのでこれからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - のむさん» コメントありがとうございます。ファンになって頂けるなんて光栄です。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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