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緑谷は眉を下げて笑った。大丈夫とは言えない怪我だったが私からかける言葉も特になかった為その場を去った。靴を履き替えた時に少し離れたところでクリーム色のツンツン頭を発見した。爆豪である。今の彼は尋常ではないくらい機嫌が悪いだろう。触らぬ神に祟りなしだ。そっとしておくのが得策である。
───と、その時、凄まじい足音が私の鼓膜に響いた。
音のする方に顔を向ける。まさかの犯人は緑谷だった。つい先程教室に向かっていたにも関わらず全速力でこちらに走って来たのだ。怪我人なのに大丈夫なのか。
緑谷と目が合った。多分彼は爆豪を追いかけに来たのだろう。察した私は静かに爆豪の方へ指をさした。緑谷は私に礼を言ってまた走って行った。靴を履き替えたのはいいものの校門前で緑谷と爆豪が何やら話をしているので動くに動けない状況だった。話し込むなら人気の居ない別の場所でして欲しいものである。
「人から授かった"個性"なんだ」
思わず、持っていた鞄を落としそうになった。いや、落ちた。これは聞いていいのかいけないのか、いや多分、聞いてはいけない内容。落とした鞄を拾うのも忘れて私は外靴のまま教室の方へ戻った。我ながらこんなに取り乱してしまったのは久しぶりである。そして教室には入らずにそのまま廊下で息を整えてしゃがみ込んだ。緑谷出久が個性を譲渡されたらしい。受け渡す事が出来る個性なんて可能なのか。いや、可能なのかもしれない。だって私が唯一知っている、個性を「奪う」事が出来る能力があるのだから。
「…待てよ」
もし、もし仮にだ。あくまで私の予想に過ぎない話だ。私は個性を「奪う」能力の名を知っていた。もしその名の反対の個性が緑谷が受け取ったものだったら。もし、緑谷の個性が───「ワン・フォー・オール」だったら。
考えるのを、辞めた。
事無くして私は鞄を置き忘れていた事に気付いた。そして外靴のままだと言う事にも。慌てて外靴を脱ぎ靴下のまま靴箱へ向かった。するとそこには何故かオールマイトと緑谷が居て、私はそそくさとその場から立ち去った。地面に落とした筈の鞄を探したが見当たらない。あんな大きいもの、盗む人がいるのだろうか。金目のものは入っていないが教科書類があるので無くすのは正直困る。
「探してンのはコレか」
「……ああ、それだ」
驚いた。校門前に爆豪が立っていた。しかも私の鞄をガシッと掴んだまま、ぶっきらぼうに。彼の意図が読めず恐る恐る近づいた。
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麗葉 - とても面白かったです！空白があると読みやすいかなと思います！ (6月19日 14時) (
レス) id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - レオさん» コメントありがとうございます。夢主の過去は後に出てきますので暫くお待ち頂けると幸いです。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - eggちゃんさん» コメントありがとうございます。更新頻度をあげられるよう全力を尽くしますのでこれからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - のむさん» コメントありがとうございます。ファンになって頂けるなんて光栄です。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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