第二章 惨めなヒーロー ページ4
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中学生になった。あれからあっという間に時が過ぎて、気付けば中学一年生になっていたのだ。時間というものは恐ろしい。
私という人間はあれから変わってない。身長が伸びて百六十センチになったくらいだ。この身長を活かすために何となくバレーボール部に入部した。別に下手でもないし上手くもないが、我ながらチームメイトと仲良くやっていけてると思う。
勉強は一気に難しくなったが、塾に通いながらそれなりの成績をキープしつつという所だ。特別良い点数はとれないが、たまに英語のテストで九割取れる時があった。まあそんな感じだ。
髪も伸ばし始めた。周りが一気に大人っぽいくなった気がして、じゃあ私もと便乗してみた。小学生の頃はずっとボブだったが、今やポニーテールが出来るくらい伸びたと思う。
切島くんとは同じクラスにならなかった。彼は変わらずあの性格のままだ。お節介に他人に干渉して人助けを行い、いつも走っている。見ていてとても忙しかった。
小学校が同じだけで、私と彼は関わりがない。話した事もない。ただ私が一方的に切島鋭児郎くんという存在を気にしているだけだ。それは恋愛的な好意でも、親しい間柄になりたい訳でもない。ただ切島くんという人柄が私の中で疑問に満ちているだけなのだ。
「A〜コンビニ寄って帰ろ〜」
「オッケー」
部活終わり、夏の暑い日。自転車を押してダラダラと下校する、ありふれた日常。額から伝う汗を拭い、タオルを首に巻いて下校する、何の変哲もない日常。部活仲間とコンビニに寄って、各々好きな味のアイスを買う。冷たい至福のひとときを身に染みて堪能しながら歩くアスファルト。これも、青春。 普通の日常。
「あれ、切島じゃん」
ソーダ味のアイスを片手に友人がそう呟いた。持っていたチョコレートアイスを思わず落としそうなったがギリギリで耐えた。前にも同じ事があった気がする。気の所為だと信じたいが。
「おーい！切島ー！」
友達がそう叫んだ。切島くんと仲が良いのか、ふざけてる感じで手をブンブン振りながら少し先を歩く切島くんを呼んだ。そうだった、彼女は切島くんと同じクラスだったのをすっかり忘れていた。
「お！山田ー！」
振り向いた切島くんは、屈託のない笑みを浮かべながら手を振り返していた。ああそうだ、彼はこんな人だ。いきなり名前を呼ばれてもちゃんと笑顔で返す、そういう人だ。溶けそうになったチョコレートを噛み砕いて、私は無言で彼を見つめていた。
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前頭葉爆発(プロフ) - いくまさんの作品は何度みても色褪せなくて、毎回感動しちゃいます🥺 新作も続編も見たいです（欲望）誇張表現とか無しで本当に尊敬してる1番超大大大大大好きな作者様です！！身勝手ですがファンとして応援しています！無理せず執筆活動、頑張って下さい！！！ (8月26日 5時) (
レス) id: bc670cb629 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - めちゃ面白いです！ (2022年1月8日 1時) (レス) @page14 id: 6b84f5d2ae (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 本当に綺麗な文章でした(;_;)夢主視点で進む中で、境界線ってタイトルに相応しいぐらい二人の対比を見事に表現してて圧巻、脱帽です、、いくまちゃんの文字が本当に好きッ。 (2021年10月18日 19時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
奏海(プロフ) - 切島くんのお話書いてくれてありがとう！いくまちゃんらしい作風というか、ベタな恋愛ものではないんだけど夢主の中にはずっと切島の存在があるっていうのがなんかすごい好きだった。最後の弔くん出てきた所で色んな意味で心臓ヒュってなりました。 (2021年10月18日 13時) (レス) @page23 id: d291d10447 (このIDを非表示/違反報告)
うぇすとり?ぁー(プロフ) - 初のヒロアカ夢とっても面白かったです！涙のシーン、挫折のシーン沢山の伏線が一気に最終章で回収されて鳥肌が今も止まりません！境界線のタイトルもとてもセンスがあって良かったです！次回作待ってます‼️ (2021年10月18日 0時) (レス) @page22 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
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