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「そっか！俺の名前は切島鋭児郎！ヨロシクな！」
真っ直ぐな瞳で、私に向かって差し出された少しばかり土で汚れたその手はとても小学生らしい小さな手だった。ニコッと笑いその手を握り返すと思ったより硬い。いや、かなり硬い。というか、痛い。てか、めちゃくちゃ痛くね？
「…え、いや痛い痛い痛い痛いッ！！？」
もっとこう、何というか。相手は小学生だから握力とか手の柔らかさとか、なんとなく可愛いモンだと想像していた。いや普通するだろう。仮にも私は高校生だぞ。自分で言うのもアレだが一応華のJKの十六歳だぞ。それが一転、何だこの硬さは。硬い通り越して、痛い。というか、なんか刺さってる。私の手、なんか刺さってる。
「あ！悪い！無意識のうちに硬化してた！」
「いや勘弁してもろて！？」
そりゃ痛ぇよ！なんて思いながら素早く手を離した。絶対これ血が出てるだろ。涙ぐんだ瞳を自らの手で拭いながら自身の右手を見つめた。してやられたこのガキ。いやいやわざとじゃない。大人になれ、大人になるんだ華崎A。
「き、気をつけてよ…」
「おう！」
返事だけはいいな、と思いつつ私はジッと少年、いや鋭児郎くんの顔を見つめた。ギザギザの白い歯が特徴的な男の子。身長は百六十の私より全然低くて、まだあどけなさが抜けない様子だ。先程放り投げたランドセルの方を見るも、そのランドセルも少し古びていて汚れが目立つ。大方、小学五、六年生あたりだろうか。
「…鋭児郎くん、だっけ？」
「おう！何だA！」
「待って呼び捨てされてる」
そんなに私は歳上に見えないのか。ああそうかい舐められたモンだな。まあ別に気にしてないけども。ひとつ小さな溜息をついた私は自身の手のひらを鋭児郎くんの前に出す。すると鋭児郎くんは頭に？マークを浮かべた様な表情で私の手をジッと見ていた。まあ見てみろ、今からが本番だ。
「よーく、見ててね」
ニヤッと口角を上げて、悪戯っ子の様な笑みを浮かべた。暫くお互いが無言のままだったがその瞬間、ポンッと腑抜けた音が弾け飛んだと同時に私の手から一輪の花が出現したのだ。
「おお！何だこれ！」
「赤いナデシコだね。あげる」
「俺、花とか全く興味ねえ！！」
「正直者だなあ！！あげるよ！！」
赤いナデシコの花を一輪、鋭児郎くんに差し上げる。私の個性は「花造」。文字通り色んな花を手の平から出す事が出来るのだ。ただそれだけ。ロマンチストでもないから特に役に立った事はない。
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前頭葉爆発(プロフ) - いくまさんの作品は何度みても色褪せなくて、毎回感動しちゃいます🥺 新作も続編も見たいです（欲望）誇張表現とか無しで本当に尊敬してる1番超大大大大大好きな作者様です！！身勝手ですがファンとして応援しています！無理せず執筆活動、頑張って下さい！！！ (8月26日 5時) (
レス) id: bc670cb629 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - めちゃ面白いです！ (2022年1月8日 1時) (レス) @page14 id: 6b84f5d2ae (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 本当に綺麗な文章でした(;_;)夢主視点で進む中で、境界線ってタイトルに相応しいぐらい二人の対比を見事に表現してて圧巻、脱帽です、、いくまちゃんの文字が本当に好きッ。 (2021年10月18日 19時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
奏海(プロフ) - 切島くんのお話書いてくれてありがとう！いくまちゃんらしい作風というか、ベタな恋愛ものではないんだけど夢主の中にはずっと切島の存在があるっていうのがなんかすごい好きだった。最後の弔くん出てきた所で色んな意味で心臓ヒュってなりました。 (2021年10月18日 13時) (レス) @page23 id: d291d10447 (このIDを非表示/違反報告)
うぇすとり?ぁー(プロフ) - 初のヒロアカ夢とっても面白かったです！涙のシーン、挫折のシーン沢山の伏線が一気に最終章で回収されて鳥肌が今も止まりません！境界線のタイトルもとてもセンスがあって良かったです！次回作待ってます‼️ (2021年10月18日 0時) (レス) @page22 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
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