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「次からは気をつけてね」
そう言って私は絆創膏のゴミを集めた。そのまま公園のゴミ箱にパッとゴミを捨てて少々汚れたスカートを手で払った。少年はまだベンチに座っていた。キョトンとした顔で私を見つめるその少年の顔はとても可愛らしく、紅の瞳がゆらゆらと揺れていた。整った顔の少年だなと今更ながら感じる。これは多分学校でモテモテなのではないか、なんて余計な事を考える始末だ。こんな高校生でごめんなさいと心の中で詫びを入れる。
次は滑り台から落ちるなんて恐ろしい真似はするなよと言葉では言わなかったが、その意味を込めて私は少年に手を振りその場から立ち去ろうとした。が、その瞬間手に持っていた学生鞄が急激に重くなり、驚いた私は思わず後ろに振り向いた。するとベンチに座っていた筈の少年は立ち上がっていて私の学生鞄を掴んでいたのだ。
「ど、どうしたの？」
おずおずとした様子で私は少年に聞き返す。少年が持つ紅の瞳はキラキラと輝いていて見るからに眩い。何かおかしな事でもしたのだろうか、私は。そう思い返しても別に変な事はしていない。…筈だ。益々私の思考は謎に陥ってしまった。
「俺、全然怪我してねえから！」
「…は？」
まさかの小学生相手に「は？」と言う言葉をかけてしまった高校生がここに居た。申し訳ない、流石に言っていい事と悪い事があるだろう自分。いやいや、それでも膝に肘に顔面に沢山の擦り傷切り傷かすり傷を付けた絆創膏だらけの少年が怪我をしていないなんて威張っても何の説得力もないでしょう。眉間に皺を寄せてひとつ考える素振りを見せたけど、やっぱり何て返すのが正解か分からなくなったのでただひたすら私は唸っていた。
「……怪我、しちゃったよね？」
「してねえよ！俺の個性、『硬化』だから怪我しても全然痛くねえもん！」
自信満々な顔で少年は腕を組みながら鼻の穴を膨らませていた。そんなボロボロの姿で何を言うと思ったが、相手はまだ小学生。ここはひとつ大人の対応をしなくてはならない。私は笑顔を作って少年に「それは凄い個性だね」と話を続けた。
「姉ちゃんの名前、聞いていい？」
「え、私の？」
そう聞き返すと「おう！」と元気よく返事が来た。どこまでも純粋そうなその顔に負けた私は「…華崎Aです」と答えてしまったのだ。いやあの顔はずるいだろう。あんな可愛い顔で名前聞かれたら私じゃなくとも本名教えてしまう。決して私がチョロい訳ではない。断じて違う事を願う。
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前頭葉爆発(プロフ) - いくまさんの作品は何度みても色褪せなくて、毎回感動しちゃいます🥺 新作も続編も見たいです（欲望）誇張表現とか無しで本当に尊敬してる1番超大大大大大好きな作者様です！！身勝手ですがファンとして応援しています！無理せず執筆活動、頑張って下さい！！！ (8月26日 5時) (
レス) id: bc670cb629 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - めちゃ面白いです！ (2022年1月8日 1時) (レス) @page14 id: 6b84f5d2ae (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 本当に綺麗な文章でした(;_;)夢主視点で進む中で、境界線ってタイトルに相応しいぐらい二人の対比を見事に表現してて圧巻、脱帽です、、いくまちゃんの文字が本当に好きッ。 (2021年10月18日 19時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
奏海(プロフ) - 切島くんのお話書いてくれてありがとう！いくまちゃんらしい作風というか、ベタな恋愛ものではないんだけど夢主の中にはずっと切島の存在があるっていうのがなんかすごい好きだった。最後の弔くん出てきた所で色んな意味で心臓ヒュってなりました。 (2021年10月18日 13時) (レス) @page23 id: d291d10447 (このIDを非表示/違反報告)
うぇすとり?ぁー(プロフ) - 初のヒロアカ夢とっても面白かったです！涙のシーン、挫折のシーン沢山の伏線が一気に最終章で回収されて鳥肌が今も止まりません！境界線のタイトルもとてもセンスがあって良かったです！次回作待ってます‼️ (2021年10月18日 0時) (レス) @page22 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
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